大雨や台風など自然災害で損壊した住宅を「火災保険の範囲内で修理する」と持ちかけて実際は保険金で足りず自己負担があったり、金だけを受け取って工事をしなかったりといった悪質な業者によるトラブルが全国で急増している。国民生活センターによると、この種の相談は2012年度に521件あり、5年前の20倍近くにまで増えた。同センターは「今も水害や竜巻が続いている。被災直後に悪質な業者が訪問するかもしれない」と注意を呼びかけている。
国民生活センターによると、火災保険などの損害保険では、台風や豪雨などで家屋が損壊した場合、修理費として保険金が支払われる場合がある。この点に着目した悪質な業者が、修理に保険金が出ることを知らない人に修理話を持ちかけて受注を狙ったとみられる。
業者が災害で損壊した家を訪問して点検し「この前の台風で壊れている。保険金が出るので自己負担はない」などと持ちかけ、屋根や壁の修理工事を契約する例が多い。しかし、実際には▽一部しか保険金が出ず、自己負担があった▽保険金全額を前払いしたが、工事が実施されない▽工事がずさんだった--などのトラブルが報告されている。
07年度に28件だった相談は10年度102件になり、11年度252件、12年度521件と東日本大震災後も倍増している。今年度は9月4日までに266件で昨年度を上回るペースだ。
九州地方の60代女性宅には今年6月、業者が来て「保険の範囲内でおさまる」と屋根の修理を持ちかけられた。業者は「状態を確認するため屋根に上がる許可のサインをしてほしい」と書類を出してきたが、女性はこれが工事契約の書類と気づき、消費者センターに相談したという。
国民生活センターは「複数の業者から見積もりを取ったり、保険会社に直接、保険金が出るのか確認したりするなど慎重に対応してほしい」と話している。
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/medical/20130908k0000e040145000c.html