ビジネス会話で、ふとした時に「あれ?これって…」と、戸惑いやすいのが「尊敬・謙譲・丁寧語の使い分け」。自分の使っている尊敬語、謙譲語、丁寧語が正しいかどうか自信がなくなったら、ぜひ今一度確認してみてくださいね。
■尊敬・謙譲・丁寧語のおさらい
(尊敬語)…相手を立てる時に使われる言葉です。相手を敬っている、尊重しているという気持ちをあらわすのに使います。
(謙譲語)…尊敬している相手に対して、へりくだって自分を表現する時に使う言葉です。自分がへりくだることで、相手を立てる表現です。
(丁寧語)…語尾を「です・ます」や「ございます」にするなど、相手を問わず、また内容を問わずに表現を丁寧にしたい時に使う言葉です。
1.「行く」の尊敬語は「いらっしゃる」、謙譲語「参る、伺う」、丁寧語「行きます」
例・尊敬語「会場へは何時にいらっしゃいますか?」、謙譲語「会場へ何時に参ります(お伺いします)」、丁寧語「会場へ何時に行きます」
その他「行かれる」という尊敬語もあります。
2.「言う」の尊敬語は「おっしゃる」、謙譲語「申す、申し上げる」、丁寧語「言います」
例・尊敬語「先生がおっしゃいました」、謙譲語「先生に申しました(申し上げました)」、丁寧語「友だちに言いました」
ちなみに謙譲語の「申す」は自分をへりくだるだけでなく、取引先や得意客に対して、自分の身内である会社の人間をへりくだり、表現する時にもよく使います。例えば外出先で「部長がよろしくと、申し上げておりました」など、使うことがあります。
3.「する」の尊敬語は「なさる、される」、謙譲語「いたす」、丁寧語「します」
例・尊敬語「明日の予定は、キャンセルなされますか?」、謙譲語「明日の予定は、キャンセルいたします」、丁寧語「明日の予定は、キャンセルします」
4.「食べる」の尊敬語は「召し上がる」、謙譲語「いただく、頂戴する」、丁寧語「食べます」
例・尊敬語「食後に、甘いものは召し上がりますか?」、謙譲語「お土産に、甘いものをいただきました(頂戴しました)」、丁寧語「食後に甘いものを食べます」
ちなみに食事を勧める時などに使われる「どうぞ、いただいてください」という言葉は、間違った敬語です。尊敬語の場合は「どうぞ、お召し上がりください」になります。
5.「来る」の尊敬語は「見える、おいでになる、お越しになる」など表現多数
例・尊敬語「先生がお見えになりました」、「先生がおいでになりました」、「先生がお越しになりました」、「先生がいらっしゃいました」、「先生が来られました」
この「来る」を表現する時の敬語は悩みがちですが、いずれも尊敬語なので、どれを使っても失礼ということはありません。ちなみに謙譲語は「参る」、丁寧語は「来ます」と表現します。
例・謙譲語「何時に参ります」、丁寧語「もうすぐ友だちが遊びに来ます」
「来る」の尊敬語として、間違って使われやすい「何とかさんが、参られました」という言葉です。「参る」は自分をへりくだって使う言葉なので、立てなければならない相手には、使わないようにしましょう。
尊敬語と謙譲語、丁寧語の使い方で迷ったら、目上の人を立てるのが尊敬語、自分をへりくだるのが謙譲語、相手を問わずに丁寧な表現を使うのが丁寧語と覚えて、使い分けてみてくださいね。
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