入試の出願をインターネットで受けつける大学が増加中だ。近畿大、中京大、東洋大が来春の2014年度入試で紙の願書を全廃し、ネット出願に一本化する他、紙とネットを併用する大学も60校ほどに上る。環境対策や経費節減、事務作業の軽減に加え、受験生獲得の手段としても注目されているようだ。【水戸健一】
大手予備校「河合塾」が今夏、全国7カ所で開いたネット出願の説明会には計385大学が参加。担当者は「予想以上で関心の高さに驚いた」。
ネット出願は、受験生と大学の双方にメリットがある。受験生は時間や場所を選ばず出願でき、出願前にコンピューターが自動チェックするため、紙の願書であった「記入漏れ」も未然に防げる。このため大学が受験生へ電話などで連絡していた作業がほぼ解消される。その人件費や願書の印刷費用がなくなることで受験料の割引なども可能になり、志願者増が見込めるという。
近畿大は09年度入試でネット出願を導入。総志願者に占めるネット出願の割合は例年、10%以下だったが、今春の入試で検定料を3000円安くしたところ、全体の64%が利用した。志願者も前年度比2万2479人増の13万1198人に。
東洋大は来春から、紙の願書の廃止とともに大学案内の印刷もやめ、情報発信をウェブサイトだけにする。毎年、14万部の願書と50万部の大学案内を印刷・配布してきたが、多くが使われず廃棄されていたという。加藤建二入試部長は「ペーパーレス化で環境に配慮した上、受験生にはネットで最新情報を伝えられる」と強調する。
大学ジャーナリストの石渡嶺司さんは「ネット出願は受験生を増やす方法として費用対効果が高い。今後も導入する大学が増えるだろう」とみている。
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/education/20130817k0000e040149000c.html