■成績も向上! ロングブレスを子供に!
「吸って~、1、2、3」
東京・赤坂にある「ロングブレススタジオ」。7月某日、母8人、小3~小6の子供9人が、美木良介さんの声に合わせて一斉に頬を膨らませ、「吐く~」の声に合わせ、「ブーッ」と音を出しながら思い切り息を吐きだした。
「1、2、3」、おなかはもちろん、お尻の穴、指先まで全身に力を入れる。「4、5」、体がプルプルと震えてくる。「6、7!!」もう限界! 7秒吐ききった後、全身が熱くなり、ブワッと汗が噴き出す。
美木さんが独自に考案した呼吸法「ロングブレス」。これは、鼻から吸う(3秒)+口で吐く(7秒)を、強く長く繰り返すことで、内臓を包むインナーマッスルの腹横筋や、腰痛予防にもなる脊柱起立筋を鍛えて、効率的に筋肉を増やし、脂肪を減らすトレーニング。健康的な体になると大人に大人気のロングブレスだが、小学生にも大変効果的なのだとか。
「最近、口呼吸で姿勢の悪い子が目立ちませんか? それは、軟らかい食べ物ばかりでよくかまないので表情筋が弱いことや、ゲームや携帯メールなどのしすぎで猫背になることが原因です。口呼吸も猫背も、呼吸が浅くなるため、頭がボーッとしてきます。集中力が低下することで学力も低下しますし、免疫力まで下がってしまうのです」と美木さん。実は、今年5年生になった美木さんのお嬢さんも、3年前までは、こんな状態だった。
「食事中、テーブルにひじをついていることに気が付きました。聞くと、体を支えられない。勉強するために机に向かっていても疲れてしまい、30分と集中力が持たない。これは体幹が衰えているのだと思い、娘と毎朝食前にロングブレスの呼吸法を使ったトレーニングを始めました。続けたところ、1カ月後には腹筋が6つに割れて、成績が伸び、運動会でも1番が取れるようになりました」
こうしてメキメキと体力をつけていったお嬢さんは、今では腹筋が8つに割れ、二重跳びの縄跳びを連続120回できるほどに。そして、性格面でも驚くべき変化があったという。
「娘は引っ込み思案で人見知り、誰かの後についていくタイプだったんです。それが、学級委員に立候補するくらい積極的になりました。やれば変われるという希望と、やりとげたという自信がついたからでしょう。今も毎朝続けていますよ」
成長期の子供に過度な運動をさせると、骨格形成に支障をきたすことがある。しかしロングブレスなら思い切り呼吸をしてもこうした弊害がなく体幹を鍛えることができる。美木さんが信頼する医師からも、子供にロングブレスを教えることを勧められたという。
「娘が変わって実感したのは、どんな習い事をさせるより、正しい呼吸と姿勢は子供への最高の贈り物になるということです」
同スタジオでは今後キッズレッスンもスタートしていくというが、それに先駆け、呼吸法の基本や美木さんがお嬢さんに教えた体幹トレーニングの初級編をプレジデントfamily読者向けに特別レッスンをしてもらった。
詳細は次ページ以降で紹介するが、最初に子供とロングブレスをする際に、気を付けたいポイントを押さえておこう。
まずは次ページで紹介する2つの呼吸法をしっかりマスターすること。ロングブレスが一番効果的なのは血糖値の低い朝食前だが、慣れさせるためには頻繁に練習したい。夏休み中なら、2分間の呼吸法を朝昼晩最低3セットは行おう。
それができるようになったら、4ページめで紹介するロングブレスを取り入れた体幹トレーニングの初級編各6分間を少しずつ増やしていく。
「今日のレッスンでも感じましたが、子供は大人よりはるかに上達が早いです。続けるうちにすぐ慣れてしまいますから、紹介した体幹トレーニングすべてに慣れてしまったら、負荷をつけた上級編や、別のトレーニングに切り替えていってください」。トレーニングは美木さんのたくさんの著書で紹介されているので、参考にするといいだろう。
体幹がしっかりとすれば、おなか回りに自前のコルセットが生まれ、正しい姿勢が自然にできるようになる。ぶれない体幹を持てば、けがをしにくい体にもなる。子供は会得も早ければ効果も早い。やる気スイッチがオンになり、運動のパフォーマンスや勉強の理解力も深まるはずだ。夏休みももう後半。親子で早速実践して、2学期に備えよう。
http://news.goo.ne.jp/article/president/life/president_10321.html