2012(平成24)年4月に京都府亀岡市で児童や保護者ら10人が死傷するなど、登下校中の交通事故が相次いだ。文部科学省・国土交通省・警察庁の3省庁は、公立小学校の通学路の安全対策を進めているが、2013年3月末現在、全国で約3万2,000か所の危険な場所が未対策のままであることがわかった。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が語る。
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通学路の危険箇所とは、交差点に横断歩道がない、見通しが悪いのに交差点に信号機がない、交通量が多いにもかかわらず歩道が狭いうえに片側にしかない、踏切の見通しが悪いなどの場所です。
今年3月末までに7万4,483か所のうち4万2,662か所(57.3%)の安全対策が終了しました。しかし、それでも残り42.7%に当たる3万1,821か所が、安全対策が取られないまま放置されています。
安全対策の実施状況を対策所管別に見ると、
●ボランティアによる見守りなど教育委員会・学校による対策が2万8,925か所のうち2万6,077か所(90.2%)
●歩道の整備や路肩の拡幅など道路管理者による対策が4万5,020か所のうち2万2818か所(50.7%)
●信号機や横断歩道の設置など警察による対策が1万9,715か所のうち1万2,263か所(62.2%)となっています(複数の機関が関わる場所があるため、合計は先の危険箇所数や未実施箇所数とは一致しません)。
所管別の進展状況からは、見守りなどほとんど経費がかからない対策が約9割で実施されている一方、道幅を広げるための用地買収など経費のかかる対策が最も遅れていることが明らかになりました。背景には、道路管理者である地方自治体の財政事情の厳しさ、地権者の合意が得られないなど用地買収の難しさなどがあると推測されます。
子どもたちが毎日使う通学路の危険箇所を放置しておくことは絶対に許されません。関係者の理解を得ながら、早急に対策を取ることが必要でしょう。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/education/benesse-8439.html