「妬(ねた)む気持ちは悪いこと」と思う保護者もいるかもしれないが、誰かを妬む力はその人に近づこうと努力する原動力になることもあるようだ。子どもの妬みに関する研究をしている、宇都宮大学教育学部の澤田匡人准教授に、妬みを前向きな力にするために保護者ができることを聞いた。
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人を妬む気持ちをいつも建設的な方向で解決できればよいのですが、それは大人であっても難しいこと。万能の対処法というものはなく、その都度自分なりに考え、そうした気持ちに対処していくしかありません。
ただ、子ども自身に「妬む」という気持ちを感じている意味を考えさせることが、ネガティブな気持ちをポジティブなものに変えるヒントになるかもしれません。なぜなら、どうして相手がうらやましいのか考えることで、自分が何を欲しているのかが見えてくるからです。
大人であれば、自分に足りないものがあると気付いたら、相手を観察して、その人に近づくための努力を意識的にすることができます。ただ、子どもは「どうしたら○○ちゃんみたいになれるのか」、その過程にどんな努力をすればよいのかがわからないことがあります。そうしたときこそ保護者の出番です。
「どうしたら○○ちゃんに近づけるのか一緒に考えよう」と声掛けし、○○ちゃんに近づくためにはどんな努力が必要か、具体的な対策方法を提示してあげるとよいでしょう。努力次第で近づけるかもしれないと思えれば、自ら建設的解決を選択し、努力していく可能性もあると思います。
それでも相手に敵わないとき、努力では無理なときもあるでしょう。子どものうらやましいという気持ちは受け止めたうえで、その子の持っているほかの面に目を向けさせてあげるのも一つの方法です。自分にはほかのよいところがある、自分には別に大事なものがあると思うことができれば痛みは和らいでいくはずです。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-8235.html