感染力はインフルエンザの2倍!風しんにかかりやすいのは子供<大人
三日はしかとも呼ばれる風しん。2013年に患者が激増し、神奈川県では非常事態宣言がなされたほど深刻化した。
もしも風しんにかかったらどうなるのか?子供の病気と思われがちだが大人も感染し、重症になると脳炎や髄膜炎を引き起こす。妊娠中の女性なら胎児の先天異常が心配だ。予防接種を受けた人でも感染する場合があるというから、気が休まることはなさそうだ。
■感染力はインフルエンザの2倍!
風しんはウィルスによる感染症で、春から夏にかけて広まる。潜伏期間は16~18日で、頭痛・発熱・鼻水・せきなどカゼに似た症状が現れる。
リンパ節の腫れと、顔や首を中心に赤い発しんが出るのがカゼとの大きな違いだが、人によっては出ないことがあるので自覚しにくい。残念ながら特効薬はなく、かかっても辛さを抑えることしかできない病気だ。
主な感染ルートは空気で、くしゃみやせきで飛び散った唾液(だえき)を介してほかの人にうつる。
一人の患者からうつる人数は5~7人と、インフルエンザの2倍を超える感染力だ。感染者の30~50%は風しんだと気づかないというデータもあり、これが拡大を加速している。
その結果、日本では過去5年に亘り患者が増え続け、2013年は4月17日時点ですでに4,068人にも上る。これは2012年(2,392人)の1.7倍、昨年同期で比較すると約30倍となり、驚異的なスピードで広まっているのだ。
子供は3日ほどで治るケースが多いが、大人が感染すると1週間ほど高熱が続き、血小板の減少から重症化することもある。特に男性は生殖機能にダメージを受けるので深刻だ。
女性、特に妊娠中の場合、胎児の先天性風しん症候群(CRS)が心配だ。心疾患、難聴、白内障が3大症状で、そのほか糖尿病や発育遅滞など、どれも深刻なダメージを与えるからだ。
国立感染症研究所のデータによると、母親が感染するタイミングとCRSの発生頻度は、
・妊娠1か月以内 … 50%
・2か月以内 … 35%
・3か月以内 … 18%
・4か月以内 … 8%
で、特に20週頃までは厳重な警戒が必要だ。
予防接種は、弱めたウィルスを体内に入れ抗体をつくるのが目的だから、言い換えれば意図的に感染する行為だ。
そのため妊娠中は予防接種を受けることもできないし、接種後2か月間は妊娠もNGだ。成人の15%は不顕(ふけん)性感染、つまり感染しているのに症状が現れない状態とのデータもあるので、そろそろ赤ちゃんが欲しいと思ったら、真っ先に予防接種を受けに行こう。
予防接種で明るい家族計画。
■風しんは大人の病気
以前は「子供の病気」と呼ばれていた風しんは、今では成人に多い病気となった。男性は10代後半から50代前半、女性は10代後半から30代前半が多く、20~40代の成人だけで全体の8割を占める。大人だから感染しやすいのではなく、予防接種を受けなかった率が高いからだ。
予防接種の移り変わりを、大まかな生年別にまとめると、
・昭和37年~54年 … 女子中学生のみ集団接種
・昭和54年~62年 … 男女とも個別接種
・昭和62年~平成2年 … 男女とも幼児期のみに個別接種
だ。学校でおこなわれる集団接種に対し、個別接種は病院で受ける任意型だから、受けていない率が高い。
昭和37~54年生まれの男性は完全ノーマーク状態、54年以降は親の判断にゆだねられていたので、受けたかどうか知らないことが多い。これが感染率をアップさせているのだ。
一度かかれば大丈夫の定説も、近年は疑問視されている。1回の予防接種ではじゅうぶんな抗体が作られない人がおよそ5%もいるからだ。
また、時間がたつにつれて抗体が減る人もいるので、小さい頃にかかった、予防接種を受けている、も過信は禁物だ。2回接種しても問題ないので、記憶があいまいならぜひ受けておこう。
■まとめ
かくいう筆者も20代で風しんになった。カゼかと思っていたら発しんが出はじめ、慌てて病院に行った記憶がある。
これで安心と思っていたが、2度目の可能性があるというから困ったものだ。あのつらさは二度とゴメンだから、予防接種を受けにいくことにしよう。
http://news.goo.ne.jp/article/mynaviwomen/life/mynaviwomen-100891.html