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小児がん経験し晩期合併症 「働きたい」でも「働けない」

■突然解雇、不採用…「将来が不安」

「就職して働きたい。でもこれまでのことを思うと不安」。厚生労働省研究班のアンケートで浮かび上がった小児がん経験者の自立・就労の障害。晩期合併症を抱え、低身長のため就職活動で採用を断られたり、アルバイトを突然解雇されたりした経験がある大阪市の中村航さん(22)は将来への不安を隠せない。

中村さんは4歳のときに小児がんが発病し、3歳下の弟から骨髄移植を受けた。医師から完治したと診断され、中学進学以降は年に数回の検診で病院に通うだけに。晩期合併症のため身長は今も146センチだ。

大学時代の平成23年2月には、自宅近くの製本所で出荷準備のアルバイトをしたが、理由も分からないまま約2週間で突然解雇された。他のアルバイトも同様に辞めさせられた。

母親(51)は「どうしたらいいか分からず、労働基準監督署や市の相談所などに相談した。でも、納得できない」と語る。中村さんも「何度も同じようなことになって自信が持てない」とうつむいた。

就職活動も大学3年から進め、40社以上にエントリーしたものの結果は出ていない。今年3月、就職が決まらないまま卒業した。当初は心理学を学んだ経験を生かし、カウンセラーや社会福祉に携わる仕事を志望していたが、「今は何がしたいとかではなく、とにかく働きたい」という。

3月、携帯電話の販売員の求人に応募したとき、不快な経験をした。面接前のアンケートの持病の項目に「なし」と書いたところ、面接官から「本当に持病はないんですか」「何か病気したんじゃないですか」と執拗(しつよう)に聞かれ、「本当にいやだった」という。

晩期合併症で悩み、自殺に至ったケースも。大阪府東大阪市の男性=当時(23)=は何度も就活で不採用となった後、低身長を生かして芸人になった。しかし高額な治療費などで家族への負担を感じ、22年、自ら命を絶った。

この男性や中村さんの主治医で大阪市立総合医療センターの原純一副院長(58)は「晩期合併症をマイナスに受け止めるのではなく、患者も周りも個性として受け止めることが大事だ」と話している。

産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20130525140.html

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