わが子の血液型を知っていますか? 昔は出産時に教えてくれたが、今では調べない産婦人科が多いという。しかし、「事故や病気など緊急時に備えて必要」という親もいる。子供の血液型を調べたい場合、どこで調べればいいのだろうか-。
◆トラブル多発で
川崎市の宮本幸美さん(44)=仮名=は幼稚園児の長男(6)から血液型を聞かれ、困った経験がある。
「そういえば子供の血液型を知らない。私が生まれた時代は産院で調べてくれていたはずなのに」と宮本さん。
「愛育病院」(東京都港区)新生児科の加部一彦部長によると、ABO型の血液型検査は昭和時代、医療機関の産科でサービスの一環として行われていた。しかし、近年は大半の産科で実施していないという。
昭和50年代は産科で血液型を調べ、親に知らせるサービスが全国で行われていた。新生児のかかとに小さな針を刺して微量の血液を採取し、先天性の病気の有無を調べる「先天性代謝異常検査」が全国で導入され、その際にサービスとして血液型を調べた。
しかし、実際とは違った血液型の判定が出るなどしてトラブルが多発。そのため、最近では実施する産院はほとんどないという。
「手術や輸血が必要になれば、必ず血液型を検査します。そのため、基本的に事前に血液型検査をする必要性はない」(加部部長)
特に、新生児の血液型は調べる意味がないという。加部部長は「1歳児未満は血液型検査を行う際に必要な抗体が検出されず、正確な血液型が判定されない場合が多々ある」。愛育病院も、かつては新生児の血液型を親に教えていたが、教えた血液型と実際の血液型が違うなどの混乱が起きた。病院の手間やコストもかかるため、十数年前に廃止した。
◆2000~4000円程度
「血液型を知りたい」という母親の声は根強い。一部の私立小学校で受験時に血液型を求められることや血液型占いの普及など社会的背景もある。
こうしたニーズに対する医療機関の対応はさまざまだ。親からの希望で検査を実施する小児科もある。しかし、吉村小児科(文京区)の内海裕美院長は「輸血などが必要な際の血液型検査は医療保険の診療となるが、『ただ知りたい』場合に保険は適用されない」と話す。
多くの医療機関では2千~4千円程度の自己負担で実施している。愛育病院の小児科でも要望があれば自費(5250円)で血液型検査を行う。ただ、正確な血液型を調べるため、原則として1歳以降が対象だ。
検査方法もさまざま。採血で検査を実施する機関もあれば、かかとから血液を少し採取する簡易検査を実施する病院もある。アレルギー検査などのついでに実施するところもある。
内海院長は「医学的に調べる必要は全くなく、子供に痛い思いをさせてまで検査をする必要はない。子供が小学生程度になり、血液型を知っておきたいというなら主治医に相談を」とアドバイスしている。
■保健所の検査は問い合わせを
保健所や保健センターで子供の血液型を調べているのだろうか。「かつては血液型検査を行う自治体もあったが、最近ではあまり見かけない」と愛育病院の加部部長は言う。
兵庫県でも以前、血液型を保健所で調べる仕組みがあったが、平成20年度に廃止。一方で、同県川西市の保健センターでは、幼稚園の年長児以上の希望者を対象に、500円で血液型検査を実施できる。
血液型検査を実施しているかどうかは自治体によって異なるため、居住の保健所などに問い合わせた方がいい。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130321510.html