東日本大震災の被害の状況を後世に伝えていこうと、総務省は、さまざまな団体が保存している被災地の写真など、いわゆる「震災アーカイブ」の内容について、一元的に検索できるサイトを来年の春にも設けることになりました。
震災に関する写真や動画、証言記録などをデジタル化して保存する「震災アーカイブ」と呼ばれる取り組みは、研究機関や企業などさまざまな団体が進めていますが、ばらばらで防災教育や研究に活用しにくいという指摘が出ていました。
このため総務省は、国会図書館と連携して、震災に関する資料を一元的に検索できるサイトを来年3月にも開設することになりました。
具体的には、各地の研究機関や自治体、それに民間企業や報道機関が設けた「震災アーカイブ」の内容を、地域や日付、テーマなどを基に検索し、閲覧できるようにします。
一方、これと平行して、福島、宮城、岩手、青森の4つの県では、「震災アーカイブ」作りのモデル事業も行われていて、デジタル化した写真などが検索しやすいように、キーワードを付ける作業が進められています。
来月11日には、「震災アーカイブ」の活用について議論するシンポジウムが仙台市で開かれる予定で、震災の記憶を風化させずに後世に伝えていこうという動きが本格化しています。
モデル事業進む東北大学では
「震災アーカイブ」のモデル事業が行われている仙台市の東北大学では、被災地の写真などを分類して保存する作業が急ピッチで進められています。
集められた写真は、震災直後に撮ったものから最近のものまで膨大な数に上りますが、あとから検索がしやすいように「家屋」や「損壊」といったキーワードを付ける作業が行われています。
写真には、撮影された日付や場所などのデータも付けられ、いつ・どこで撮影されたのか分かるようになっています。
また、津波で被害を受けた建物の情報をまとめた「被災状況の地図」や、震災が起きたときの状況を被災者から聞き取った「音声ファイル」も保存が進められています。
作業を進めている東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授は、「スマートフォンやデジタル機器が流行し始めた時期に起きた災害だったので、震災直後の映像などがかなり残っている。震災の状況を思い出してしまうという問題があるので、被災者の方にダイレクトにお見せするのは難しいかもしれないが、次の世代に残すために、まとめて保存することは重要だ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121230/t10014533301000.html