胃がんの原因の一つとされるピロリ菌は、がんのもとになる性質を持つ「がん幹細胞」に働き掛けて胃がんを発症させることを、慶応大医学部の鈴木秀和准教授らの研究チームが突き止めた。ピロリ菌による胃がん発症の仕組みの一端を解明する成果で、新たな予防法や治療法の開発につながる可能性がある。13日付の米医学誌に掲載された。
ピロリ菌の毒素は、胃粘膜の細胞内に蓄積すると胃がんを起こすとされるが、その詳しい仕組みは不明だった。研究チームはピロリ菌に感染させたヒトの胃の細胞を使って実験。この毒素は、通常の細胞ではピロリ菌が作るタンパク質の働きで分解されるが、がん幹細胞では分解されず蓄積されることが分かった。
鈴木准教授は「がん幹細胞の目印となる遺伝子の働きを調べれば発症の危険性を推定でき、予防や治療に役立つ」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/121213/scn12121321070001-n1.htm