「ノンアルコール飲み会」急増 宴会のプランにも
忘年会などの集まりが増える年末。忘年会というと、一昔前はアルコール飲料が欠かせないイメージだったが、昨今は違うようだ。ノンアルコール飲料の開発が進み、バラエティーに富んだ飲み方も可能。二日酔いのない健康的な飲み会が増えてきた。(村島有紀)
東京都台東区の会社員、松矢英恵(はなえ)さん(29)は12月、忘年会の予定が4件。そのうち、元同僚ら女性5人での「女子会」はアルコールなしでの忘年会だ。「お酒をたくさん飲む人がいない。出費を抑え、カフェスタイルのお店で食事やおしゃべりを楽しみたい」
昼間に開く忘年会もある。10月末に東京・銀座にオープンしたマクロビオティック(長寿食)レストラン「G&V」の営業時間は、午前11時半から午後6時まで。米麹を使ったノンアルコールの食前酒から始まるフルコース(計14品)で2940円。「時間制限なしで、食事とおしゃべりがゆっくりできる」と忘年会としての予約が入っているという。
ノンアルコール飲料の開発も盛んだ。京王プラザホテル(東京都新宿区)は今年3月、最上階の45階ラウンジで45種類のノンアルコールカクテルをメニューに掲載。ラズベリーやグレープフルーツなどカラフルなカクテルが並ぶ。企画広報の石川綾子さんは「若い人で飲まない人が増えた。でも、せっかくのホテルなので、ジュースでは物足りないと雰囲気を楽しまれる方が多い」。
平成19年施行の改正道路交通法で、ドライバーへの酒類提供についても罰則が設けられた影響も大きい。ホテル日航大阪(大阪市中央区)は飲酒運転撲滅キャンペーンと並行し、ノンアルコール飲料を増やした。「今ではホテル全体で数十種類。バーではお好みに応じてオーダーも可能」(広報担当)という。
飲み放題プランにノンアルコールを加える店も増えた。東京都中央区の米国風レストラン「麹町ダイナー」では今春から、割材メーカー「博水社」のノンアルコールビール「ハイホップ」を提供。忘年会シーズンは「飲み放題プランに加えてほしい」と要望が寄せられた。
同店の村松修子(なおこ)さん(38)は「最近の飲み会は、パワハラにならないよう上司もアルコールを強要しない。飲める人も最初はノンアルコールで、飲酒量を調節しながら飲まれているようです」と話している。ノンアルコールビールを販売しているサントリー(大阪市北区)によると、今年のノンアルコールビールの市場は5年前の10倍以上に増加する見込みだ。
人気の理由は、アルコールだけでなく、カロリーや糖質もゼロした商品開発に成功したこと。健康志向の高い男女がターゲットで、ビジネスランチで打ち解けた雰囲気を演出▽早朝の会議に影響がないよう夜のビールをノンアルコールにする▽小さな子供のいる母親たちがママ会で盛り上がるため-など、さまざまな広がりが出ているという。カクテルやワインといったビール以外のノンアルコール飲料も人気で、今年は昨年の2倍以上に市場が広がる見通しだ。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20121206525.html