マイコプラズマ肺炎が、この冬に大流行する恐れがある。国立感染症研究所感染症情報センターによると、昨年6月以降、患者報告が過去の同時期で最も多い状態が続いている。昨年冬のピーク時の報告数は例年の約2倍に達したが、今年はそれをも上回る勢いだ。同センターの安井良則主任研究官は、「これまで第1選択薬だった抗菌薬が効かない耐性株の増加が、患者が増えている要因の一つ」と指摘。「流行はこれから本格化することが予測される」として、注意を呼び掛けている。
全国約500か所の基幹定点医療機関当たりのマイコプラズマ肺炎の患者報告数は、昨年10月3-9日の週に初めて1人を超えた。流行のピークを迎えた12月5-11日には1.51人にまで増えた。
今年の流行は、それを上回るペースで拡大している。定点当たりの患者数が初めて1人を超えたのは8月13-19日の週で、昨年より2か月近く早かった。最新の1週間(9月24-30日)は1.18人で、昨年の同時期の0.97人を上回っている。
安井氏は、患者が増えている要因の一つとして、これまで第1選択薬だったマクロライド系抗菌薬が効かない耐性株の増加を挙げる。マイコプラズマ肺炎は、感染力はそれほど強くないが、適切な治療を受けていないと、周囲の人への感染力がある期間が6週間ほど続く。「耐性株の増加により、症状がすぐによくならないし、感染力がある期間が長く続くので、感染が広がりやすくなっているのではないか」と安井氏は指摘する。
マクロライド系抗菌薬が効かない場合に使われるミノマイシンは、副作用の問題があり、マイコプラズマ肺炎と診断されてからでないと使いにくいという。
マイコプラズマ肺炎は、最初はいわゆる「風邪」と見分けにくいが、せきが長引くようなら要注意だ。
マイコプラズマ肺炎の初期症状は、発熱や全身倦怠、頭痛など。特徴的な症状であるせきはその3-5日後から始まるケースが多く、熱が下がった後もせきが3-4週間続く。安井氏は、「学校で広がる可能性が高い病気だが、成人がかかってもおかしくない。熱が下がったのにせきがひどくなったり、周りでマイコプラズマ肺炎が流行していたりする場合には、疑ってほしい」と話している。
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