障害者の尊厳を守るため、虐待の発見者に通報を義務づける障害者虐待防止法が10月1日施行される。自治体や国が救済に乗り出す根拠となる法律で、全市町村と東京23区に通報・相談窓口となる「虐待防止センター」を設置し、表面化しにくい被害の早期発見につなげる。
法律は「誰であっても障害者への虐待をしてはならない」と明記。家庭と施設、職場で虐待やその恐れのある状況を発見した人に通報を義務づけた。通報者の秘密を守り、国や自治体が虐待防止の責務を負うとしている。
家庭内虐待の通報先である市区町村は、障害者に危険が迫っている恐れがあると判断した場合に自宅への立ち入り調査ができ、一時保護も可能。相談や緊急預かりを実施することで虐待する側の家族の負担軽減も図る。
施設での虐待は市区町村と連携して調査を行う都道府県が指導する。職場での虐待は通報先を市区町村か都道府県とし、報告を受けた労働局が対応に当たり実態などを公表する。
学校や病院での虐待は通報の対象外。病院は管理者、学校は校長に防止や対応を義務づけるにとどめた。
また、福祉施設や民生委員など関係機関の調整を行う「権利擁護センター」を全都道府県に置く。国と自治体は虐待を受けた障害者の自立を支援し、市区町村は専門的な知識や経験をもつ職員の確保に努める。3年後をめどに見直しを図る。
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