東京電力福島第1原発事故による福島県民の健康不安に対処するため、県は10月1日から全国で初めて、18歳以下の県民の医療費無料化を始める。対象の約5%に当たる1万8000人(4月1日現在)が県外避難を続けており、安心できる子育て環境で人口流出に歯止めをかける狙い。ただし県内の医師不足も深刻で、県は適正受診を呼びかけている。
国に要請したが応じなかったため、県独自で実施する。小学3年生までは事故前から市町村が無料にしており、同4年〜18歳の医療費を県が負担、年間約47億円の支出を見込む。国の財政支援や東電の賠償金で創設した「福島県民健康管理基金」の一部で当面賄うが、継続のための財源確保も課題だ。
県内の常勤医師数は8月1日現在1945人で、事故前(11年3月1日)より79人減った。県医師会の矢吹孝志常任理事は「病気の早期発見につながるが、子どもに多いかぜなどで夜間受診者が増えると救急医療が立ち行かなくなる」と適切な受診を求めている。
同じく18歳以下対象の甲状腺検査は10月以降、県外の避難者も全国の71医療機関で受診できるようになる。対象者には通知が発送され、希望する場所で検査を受けられる。
事故発生時に18歳以下だった約36万人を対象に昨年10月から、県と県立医大が検査。これまでに県内在住者約8万人が受診、1人に甲状腺がんが見つかったが、同大担当者は「チェルノブイリ事故後の発症増加は最短で4年」などとして、福島原発事故との因果関係を否定している。
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