これからの時期、注意しなければいけない災害のひとつが竜巻。最近は日本でも年に平均17回の竜巻が発生しており、発生時期は台風シーズンでもある9月がもっとも多くなっている。もしも、近辺に竜巻が発生した場合には、どのような対処をすればよいのだろうか? 災害情報に詳しい、静岡大学防災総合センター客員教授の中川和之氏(時事通信社山形支局長)にお話を伺った。中川氏によれば、
「2008年より気象庁が『竜巻注意情報』を発表するようになりましたが、局地的な気象現象である竜巻を、事前に予測することは、今の科学ではかなり困難だとされています」
とのこと。用心をするのであれば、天気予報で「大気の状態が不安定」「雷や竜巻が発生するおそれがある」といった言葉が出た段階で空の様子に注目。もくもくと黒い雲が立ち上ってきたり、急に冷たい風が吹き出したりするなどが竜巻の予兆なので、屋外にいたら安全な建物の中に避難したほうがよいという。
また、竜巻が発生した場合、竜巻の“避け方”にはいくつかの注意事項があるとも。例えば、竜巻から逃げるときには、竜巻を背にするように逃げてはいけないのだそうだ。
「竜巻は、一定の方向性を持って移動します。ですから、もし竜巻が自分のいる方向に近づいてくるようであれば、竜巻の進行方向に対して直角の方向に逃げるのが適切です。竜巻が遠くに見えて近づいてくる気配がなくても油断は禁物。竜巻が発生するような、発達した積乱雲の下では、突風や落雷、ひょう、激しい雨などのおそれがあるため、やはりできる限り安全な屋内に避難すべきです」
もし、屋内に避難できない場合に竜巻が近づいてきたら、側溝など風から身を守りやすいくぼみなどに逃げ込み、身を伏せることで難を逃れる可能性が高くなるとも。
「屋内にいる場合でも、竜巻に巻き込まれて飛んでくる飛来物からの危険を避けるため、窓から離れ、建物の中心部にある窓のない部屋で、かがんで頭や首などを守る姿勢をとりましょう」
なお、竜巻や台風対策として「屋内に避難している場合、竜巻の進行方向と反対側の窓やドアは開けておくとよい」という巷説もあるが、
「これは間違った行動です。竜巻の風に対しては、なるべく多くの壁に守られたほうがよいので、すべての方向のドアや窓、雨戸を閉めて、カーテンも閉めてください」
とのこと。いずれにしても、竜巻の予兆をとらえ、早めに避難することが最善の対策。外出中に天候が怪しくなってきた場合には、スマートフォンや携帯電話で気象情報や、気象レーダーの画像などをチェックしながら、雲の様子をよく観察して、身を守るために適切な行動をとるように心がけよう。
http://news.goo.ne.jp/article/r25/life/medical/r25-20120907-00026144.html