[ カテゴリー:医療, 生活 ]

<熱中症>暑さに負けない! 今夏も節電、今からできる対策は

◇速歩などで汗かく習慣を 運動後の牛乳、血液を増量

今夏も電力不足が懸念され、節電が求められる中、「熱中症」への注意が必要だ。熱中症は7月下旬~8月上旬に多発するが、暑さに慣れていない梅雨の晴れ間などでも起こりやすい。今からできる対策は――。

気象庁が5月24日に発表した6~8月の3カ月予報によると、平均気温は西日本で高い傾向で、東日本と北日本は平年並みとされている。しかし、気象業務支援センターの村山貢司・専任主任技師は「昔に比べると、今は『平年並み』が猛暑といえる。今夏もかなり暑くなると考えた方がよい」と話す。

村山さんによると、東京では30年前、気温30度以上は年間200時間程度だったが、近年は約400時間と倍増。ヒートアイランド現象もあり、熱帯夜(夜間の最低気温が25度以上)も、2週間近く延びている。

熱中症の危険は真夏だけに限らない。村山さんは「梅雨の晴れ間や梅雨明け直後、急に気温が高くなる日は要注意。体が暑さに慣れていないためだ」と指摘する。人は汗をかくことで、体の熱を放散し、体温を下げている。湿度が高かったり風が弱かったりすると汗が蒸発しにくく、体温をうまく調節できない。ムシムシした日は特に気をつけよう。

暑さに慣れてくると、汗をかくための自律神経の反応が早くなり、体温上昇を防ぐのがうまくなる。日ごろから運動し、汗をかく機会を増やせば、暑さに負けない体を作ることができる。

日本生気象学会が作成した「日常生活における熱中症予防指針」(12年4月改定)では、「ややきつい」と感じる運動を1日30分程度行い、直後に乳製品のようなたんぱく質や糖質を豊富に含む食品を取ることを勧めている。

指針づくりに携わった能勢博・信州大教授(スポーツ医科学)は、早歩きとゆっくり歩きを交互に行う「インターバル速歩」を提案している。早歩き3分、ゆっくり歩き3分を交互に繰り返すもので、中高年をはじめ、体力に自信がない人も続けやすい。

早歩きは全速力の歩行の7割ぐらいで、個々の体力に合わせた速度でよい。できるだけ大股で足を踏み出し、5分続けると汗ばみ、10分だと息が弾む程度に。1日30分を週4日以上、1カ月をめどに取り組んでほしいという。朝晩の涼しい時間に、軽いストレッチをした後に行う。ひざや腰に不安がある人は、水中ウオークから始めてもよい。

運動後30分以内に、コップ1杯ぐらいの牛乳を飲む。牛乳が苦手な人はヨーグルト、チーズとパンでもよい。能勢さんは「運動直後に乳製品をとると、血液量を増やすのに効果的。血液は汗を作る材料なので、増えれば体温調節しやすくなる」と説明する。

運動ができない場合は、どうすればよいか。熱中症に詳しい堀江正知・産業医科大教授(産業医学)は「無理のない範囲で、ときどき冷房を消して汗をかく習慣をつけておくと、いざというときに体温調節が上手にできる」と話す。窓を開けて風が通った状態で行うことが大切だという。ただし、「体温調節には限界があり、冷房や扇風機を使ったり、涼しい衣服を工夫することも必要」と指摘する。

今からできる対策としては、住環境の改善もある。高齢者の場合、屋内での熱中症も多い。エアコンの効果を高めるためにも、日差しを防ぐ工夫が必要だ。

ヘチマやゴーヤーなどツル性の植物をはわせる「緑のカーテン」をつくったり、風通しの良いすだれを活用する手もある。日よけは室内側でなく屋外に設置すると、室内に熱がこもりにくいという。

日本生気象学会熱中症予防研究委員長の稲葉裕・実践女子大教授は「熱中症は死に至ることもあるが、予防法を知っていれば防げる。特に高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくいので、こまめに部屋の温度や湿度を測り、水分補給を心がけてほしい。汗をかいたときは塩分の補給も忘れずに」と話している。

◇予防シンポ開催

日本生気象学会は9日午後1時から、京都市東山区の京都女子大で「熱中症予防シンポジュウム2012」を開く。無料。定員150人だが、申し込みは不要。

最近の熱中症死亡の特徴や、子どもと高齢者の予防対策、体づくりや住まい、衣服の対策などを専門家8人が講演する。問い合わせは075・531・7272(京都女子大・中井誠一教授研究室)。

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◇熱中症

高温多湿の環境で大量に汗をかき、体の水分や塩分(ナトリウム)が過度に失われたり、体温の調節ができなくなることで起きる。脳への血流が不足して立ちくらみや頭痛が起きたり、ナトリウム不足で筋肉のけいれんが起きる。最も重い熱射病は、体温が40度を超えて発汗が止まり、意識障害が起こる。

最高気温が30度を超えると、死者が増え始める。記録的な猛暑だった2010年には、過去最高の1718人が亡くなり、7~9月に5万3843人が救急搬送された。

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/medical/20120607ddm013100005000c.html

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