こんにちは。東日本大震災で建物の安全性に関心を持っている「失業経験有り人事担当田中二郎三郎」です。
今年の3.11の前後、ホームセンターなどで急に地震対策グッズのコーナーができ、いかにも日本人らしい光景が見受けられましたが、地震対策グッズにもいろいろなものがあります。今回は津波の人的・物的の甚大な被害がクローズアップされていますが、阪神淡路大震災の時は建物の倒壊や家具の転倒により、貴重な人命が多数失われたことを忘れてはいけないと思います。
「すでに建ててしまった家を耐震構造にはできないけれど、せめて家具の転倒くらいは防ぎたい」。そんな方がよく買うものに、家具の上部と天井を結ぶ突っ張り棒、通称「家具転倒防止棒」があります。
この防止棒は、ホームセンターでもかなり見受けられました。しかし、この家具を家に固定することで転倒を防止するこのアイテム、実は取り付けを誤ると家具転倒防止棒どころか家具転倒加速棒に変化してしまう危険性があるのです。
実際に東日本大震災で被災した住宅を訪問したところ、家具転倒防止棒をつけていたにもかかわらず家具が倒壊している例がありました。幸い人命には影響はありませんでしたが、天井に穴が空いてしまい家具が激しく破損してしまいました。なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
原因は、本来家具の転倒を防ぐはずの「家具転倒防止棒」がただ倒れるのではなく、地震の衝撃で天井を破壊し、かつ破壊していく過程で「てこ」の役目を果たしてしまい、より高速に家具を転倒させてしまったことにありました。通常、天井の木材を破壊するのは相当な力が必要です。しかしこの家の場合、プラスターボード(石膏ボート)+ベニア板の部分に家具転倒防止棒を圧着してしまったため、簡単に天井が破壊されて家具が転倒してしまったというわけです。
このプラスターボード、別名石膏ボートと呼ばれて丈夫そうですが実は手で折れるくらい非常に弱い材料でできています。力の強い人ならパンチで穴が空く程度の強度しかありません。あくまでもこのボードの用途は柱と柱の間に封入して防音・耐火・断熱を行うことであり、耐震にはまったく役には立ちません。見た目は壁紙が張られていて判別できないので、誤ってこのプラスターボード部分やベニア板だけの部分に家具転倒防止棒を設置してしまうと、家具の挙動により天井が破壊されてかえって被害を大きくしてしまうのです。
では壁紙で隠れてしまっている天井のどこに木材(鉄筋)の柱が入っているかの見分け方ですが、壁があるところにはまず柱が入っています。それから等間隔で天井に横柱が入っているので、力をかけすぎないように天井を押してみて「たわみ」が少ないところが柱です。たわむところはプラスターボードかベニア板のみということになるので、正しく柱の位置に家具転倒防止棒を設置すれば、本来の効果を発揮できます。
ちなみに、似たようなものに洗濯物を干す突っ張り棒や棚を作る際に使う突っ張り棒があります。しかしこれらの部材も、この軟弱部分に設置すると設置の際に圧着させるだけで壁を壊してしまう可能性があります。棚を設置しようとした際、落下を防ごうと壁に強烈に押しつけ、壁を壊してしまうことも…。その場合、かなりの修理代金が必要になります。家の構造材質をよく知ってから、このような付属品を購入するべきですね。
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/life/medical/lifehacker_23155.html