東日本大震災の影響で中止された卒業式をツイッター上で行い、被災地に思いを届けようという「エア卒業式」が18日夜に開かれた。恵泉女学園大(東京都多摩市)の学生や教職員が、パソコンや携帯電話で参加した。企画した学生は「被災した人と思いを一つにしたかった」と語る。
約500人が18日に卒業式を迎える予定だった。しかし、余震や原発事故を受けて16日に中止が決まった。人文学部4年の高垣嘉織さん(22)は「一緒に卒業したいし、震災に対して何もできずにいる自分がいやだった」。18日午後、ツイッター上に「恵泉10年度 エア卒業授与式」のアカウントを設け「みんなで卒業式、しようぜ!」と書き込んだ。
友人4人で催すはずが、メールやツイッターで情報が広まった。木村利人学長も同日夕、職員から知らされた。「ツイッターって何?」という学長に、職員が閲覧のしかたを手ほどきした。
「不安や悲しみでいっぱいの1週間。今日、私たちは大学を卒業します」。数百人がネットで見守る中、午後6時に「開式」。高垣さんは本来の式次第に沿い、賛美歌の一節を書き込んだ。
〈光のある間に 歩きなさい 光のみ神が 共にいます〉
普段なら読み飛ばす言葉なのに、被災地の映像と重なって涙がこみ上げた。
続いて卒業証書の画像が投稿されると「一生忘れない」「どんな場所にいても気持ちは一つ」と書き込みが殺到した。家のパソコンから参加しているという学生は、証書を受け取るポーズをしたといい、「家族爆笑。でも関係ない。こっちは卒業式に参加してるんだから」と書いた。
高垣さんは答辞として「今できることは気持ちを一つにして祈り、願うこと」と書いた。地震が起きた11日夜、帰宅できず大学で一夜を明かした。先輩のひとりは宮城県で被災した。ともにありたいと思うのに、行動できないもどかしさを答辞に込めた。
書き込みが多すぎてサイトがダウンし、続きは19日夜にやることになった。高垣さんは言う。「参加してくれたみんなも同じ気持ちだと思う。祈りと願いを届けたい」(岩波精)
http://www.asahi.com/national/update/0319/TKY201103190236.html