風疹(ふうしん)は、身体全体に広がる小さく赤い発疹が特徴の感染症です。みずぼうそうやおたふくかぜのように、幼児や児童が感染しやすい病気とされていましたが、平成24年、25年ごろには大人の間でも大流行し、世間を騒がせました。この記事では、子どもがかかる風疹の隠れた危険、妊婦がかかった時のリスクについてご説明します。
風疹ウイルスによって起こるこの感染症は、発症すると発熱や首や耳の下のリンパ腺の腫れが見られ、それから体にぽつぽつと赤い、小さなきれいな発疹が表れます。ただし、発疹には少しかゆみを伴いますが、幼児にとっては軽い病状ですむことが多く、3日間前後で症状が落ち着くことが多い病気です。このことから「三日ばしか」とも呼ばれています。子どもによっては発熱も微熱程度で、発疹も気づかないほど軽いことも多く、感染したことがわからないままの場合もあるようです。
症状は軽いことが多いのですが、高熱やリンパ腺の痛みが強いこともありますし、ほかの発疹性疾患もありますので、幼児の場合は念のため小児科で診ていただくようにしましょう。まれに脳炎など重症の合併症もあるので、症状が長引く場合には注意が必要です。発疹がすっかり消えてしまえば、感染しなくなり、登園しても大丈夫です。
子どもの病気のように思われている風疹ですが、実は9割以上の感染者は20歳以上の大人です。現在の成人世代はワクチンの接種率が低く、抗体を持っていない人が多いのです。大人が風疹にかかると、子どもよりも症状が重くなる傾向があります。また、妊婦が感染した場合には、胎児に難聴や心疾患、目の障害などが起こる可能性が高いと言われています(先天性風疹症候群)。
子どもの重症化、大人を含めた社会での大流行を防ぎ、妊婦の安全を守るためにも、ワクチンによる予防接種は大変重要視されています。妊娠中には予防接種を受けることができないので、あらかじめ受けておくのがいいと思います。風疹は一度感染、発症すれば、再び感染する危険性はないとされています。感染したことがあったうえで予防接種をしても問題はありません。ご自身が風疹にかかったかどうかが確かでない場合には、予防接種を受けておくことをおすすめします。また、既に妊娠している場合には、風疹の抗体があるかどうかを確認する『風疹抗体価検査』が実施されます。
風疹について正しい知識を持ち、子どもだけでなく、大人、とくに妊婦は感染しないよう予防対策をしておくことが重要です。春先から初夏にかけては特に流行するため、子どもが集団生活をしている場合には注意してください。飛沫感染(咳や唾液による感染)がほとんどですので、マスク、手洗い、うがいでしっかりと感染を予防しましょう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151202-00010000-benesseks-life