[ カテゴリー:生活, 社会 ]

トラブルになってからでは遅い!結婚式トラブルへの備えとは-「キャンセル料」「打合せ不足」に関するトラブルが後を絶ちません-

全国の消費生活センター等には「結婚式」をめぐる消費者トラブルは、過去5年間毎年1,000件以上寄せられており、昨年度も1,600件を超えています。具体的なトラブル内容としては「申込金が返金されない」等、契約段階でのトラブルや、契約後の打ち合わせ段階、そして、「担当者の手違いで当日の料理が打ち合わせと違った」等、結婚式当日のトラブルに関する相談などさまざまな場面のものがあります。中でも多いのは、「契約・解約」に関する相談で、全体の9割近くを占めています。キャンセル料については、事業者から請求された金額が高すぎるとして裁判になったケースも複数ありますが、キャンセル料条項が定める金額が問題となった近年の裁判の流れを見ると、消費者側の主張が認められることが難しい状況となっている(注)ため、キャンセルという事態に至らないよう未然にトラブルを防ぐことが重要です。

そこで、まずはこうした解決の難しさやどのような場合にトラブルが起きやすいか等を踏まえつつ、契約時に慎重な検討を行ったり、担当者との意思疎通をしっかり図ったりするなど、具体的なトラブルの実情を周知するとともに、関係機関に要望と情報提供を行います。

図 結婚式の相談件数と契約・解約に関する相談件数
2010年度から2015年度までの年度別相談件数のグラフ。グラフに続いてテキストによる詳細。

2010年度の相談件数は1650件 うち契約・解約の件数は1506件、2011年度の相談件数は1594件 うち契約・解約の件数は1389件、2012年度の相談件数は1495件 うち契約・解約の件数は1310件、2013年度の相談件数は1785件 うち契約・解約の件数は1558件、2014年度の相談件数は1674件 うち契約・解約の件数は1472件、2015年度の相談件数は777件 うち契約・解約の件数は676件です。

  • (注)適格消費者団体(以下、消費者団体)が提起した、結婚式場が使用する解約金条項が消費者契約法第9条1号に違反するかどうかが争われた差止訴訟において、京都地裁は、「平均的な損害」には逸失利益が含まれ、本件キャンセル料は損益相殺後の逸失利益を下回っているので、本件キャンセル料条項は法第9条1号により無効となる部分を含むものとはいえないとした(京都地判平成26年8月7日)。消費者団体は控訴したが、大阪高裁は控訴を棄却(大阪高判平成27年1月29日)、上告受理申立をするも、最高裁は上告不受理の決定をした(最決平成27年9月2日)。

 

相談事例

強引な勧誘、申込金が返還されなかった事例

【事例1】
長時間の勧誘を受け契約。翌日キャンセルを伝えたのに、「内金」が返金されない

契約直後のキャンセル料に関するトラブル

【事例2】
契約成立の時期や解約料に関する説明がなかった
【事例3】
1年以上前のキャンセルなのに高額なキャンセル料を請求された

詳細な打ち合わせ後の見積もりに関するトラブル

【事例4】
契約時の見積もりより100万円も高額になった。契約をやめたい

結婚式当日のサービスに関する事例

【事例5】
式当日打ち合わせ通りのサービスが行われず大変迷惑した

 

相談事例からみられる問題点

  1. 「割引きは今日だけ」など、急がされるままに十分な検討をせず契約
  2. 申し込み時に、返金に関する説明がないまま申込金等の名目で金銭を支払う
  3. キャンセル料がいつから、どのくらい発生するのか十分に説明がなされていない
  4. 契約当初の見積もりと、ある程度結婚式の希望が出そろった際の見積もりが異なる
  5. 担当者との意思疎通がうまくいかずにトラブルになることがある

 

消費者へのアドバイス

  1. 契約を急がされてもその場でサインをしたり申込金を支払ったりしない
  2. お金を払う時は、支払う目的、返金の有無をしっかり確認しましょう
  3. 契約を締結する前に、契約の成立時期や、キャンセル料がいつどのくらいかかるのかを確認しましょう
    1. (1)契約の成立時期、キャンセル料の発生時期・金額の確認
    2. (2)キャンセル料の内訳の確認
  4. 担当者に式の具体的なイメージや予算を伝え、こまめに概算を出してもらいましょう
  5. 担当者との意思疎通を積極的に図り、信頼関係を高めましょう
  6. 事業者とトラブルになった場合には、消費生活センターに相談しましょう

 

業界への要望

結婚式に携わる様々なトラブルが寄せられていることを踏まえ、結婚式に関わる全ての事業者に対して以下の通り要望します。併せて、市場の健全化および消費者トラブルの未然防止、拡大防止のため、公益社団法人日本ブライダル文化振興協会に業界への周知徹底を求めます。

  • 申込金等の返金の有無や解約料、契約の成立時期について、事前に書面を渡して十分な説明を行うなど、契約に際してのトラブルを防止するために必要な情報提供を行うこと。
  • 結婚式のサービス内容、式の進行について事業者側から詳細に説明し、併せて最新の見積金額を適宜伝えたりする等、消費者に分かりやすい丁寧な情報提供を行うこと。

 

情報提供先

  • 消費者庁 消費者政策課
  • 内閣府 消費者委員会事務局
  • 経済産業省 商務情報政策局 サービス産業室

 


本件連絡先 相談情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20151105_1.html

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