金沢大学付属病院(金沢市)の教員らが、がん患者に対して実施した治療法が、厚生労働省の定める「倫理指針」に違反していた問題で、同大が治療グループの責任者ら計4人に対し、文書訓告などの処分を行ったことが、3日わかった。
同大総務部職員課によると、処分は今年3月23日付。「先進医療制度から逸脱した治療だった」などとして、治療グループ責任者の教員が文書訓告を受けたほか、幹部職員2人と別の教員1人が、山崎光悦学長から口頭注意を受けた。
治療法は、骨や筋肉にできたがんに働きかける「カフェイン併用化学療法」。昨年12月26日に外部有識者らを含む調査委員会がまとめた最終報告書などによると、同療法は臨床試験としてのみ実施が認められるが、2010年3月、臨床試験の条件を満たさずに同病院で同療法を受けていた当時16歳の少女が死亡。同病院は、現在、同療法を中止している。
報告書は、「(同療法は)抗がん剤の作用を増強する可能性があるが、有効性と安全性に関する評価はまだ確立されていない。治療グループは、治療として実施できると誤解していた」とした。
同大は処分について公表しておらず、同課の山下雅彦課長(54)は、読売新聞の取材に対し、「学内で検討した結果、懲戒処分にはあたらないと判断し、公表しなかった。院内の体制整備を進め、再発防止に努める」と話した。
同病院はこの問題を受け、先端医療開発センターにデータセンター部門を設置し、臨床試験のデータ管理を行う専門スタッフを配置した。
(2015年6月4日 読売新聞)
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