パソコンやスマートフォンの利用者に「ウイルスに感染した」という嘘の警告を日本語音声で流すサイトが複数見つかったことが31日、分かった。偽のウイルス対策ソフトを購入させる詐欺は従来もあったが、親切なサポートを装い、インターネットに不慣れな高齢者らをだます悪質な新手のサイバー攻撃とみられる。具体的被害はまだ確認されてないが、すでに国内で7千人以上がサイトにアクセスする事態となっている。
ソフト会社のトレンドマイクロ(東京)が5月27日に発見した。これまでも、嘘の感染警告を文書で表示し偽の対策ソフトを購入させる犯罪はあったが、日本語の音声を使って誘導する攻撃は初めてとみられる。
特殊なウイルスが仕掛けられたホームページが複数あり、閲覧するだけで偽サイトが自動的に表示される仕組み。サイトのURLを記したメールが送りつけられるケースもある。偽サイトにアクセスすると、「ウイルスが見つかりました」という文書などとともに女性らしき日本語の音声が自動的に流れる。クレジットカード情報などが危険にさらされていると警告した上で、ある番号に電話して対策を聞くよう促される。
パソコンソフトを開発する米メーカーの専門家を名乗る男の写真が掲載されたサイトもあり、閲覧者を信用させる手口のようだ。
対策ソフトの購入や金銭の振り込みを要求されたり、個人情報が盗まれる恐れがあるため、トレンド社は「偽サイトが表示されたら、指示に従わず、必ずウイルス対策ソフトの会社や専門家などに相談してほしい」としている。
トレンド社によると、ウイルス感染を警告して偽の対策ソフトを有償でダウンロードさせる手口は、昨年だけで140件以上も確認されたという。さらに今回、日本語音声まで流す偽サイトが見つかり、個人を狙うサイバー攻撃が巧妙化している実態が分かった。
IT業界のセキュリティー関係者は「とくにネット初心者の高齢者らは、文字より音声が流れた方が信用しやすい傾向にあり、注意が必要」と指摘している。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/sankei-wst1506010011.html