世界遺産に登録され、名実ともに”日本のシンボル”となった富士山。しかし、その一方で懸念されているのが噴火の可能性だ。火山学者などの専門家らが、先の東日本大震災や、南海トラフ地震の誘発による噴火の可能性を指摘している。地震が火山の噴火を誘発するメカニズムは、以下のようなものだ。まず地震によって火山の地下にある”マグマだまり”の圧力が減少し、マグマ内の二酸化炭素などが発泡して軽くなり、マグマが上昇を開始。これによって発泡が促進され、さらに深いところからマグマが供給されて噴火する。東日本大震災の発生直後、北海道から九州に至る20の火山の直下で地震活動が活発化した。震災4日後の3月15日には富士山の直下を震源とするM6.4の地震が発生。静岡県で震度6強が観測され、専門家たちの間に緊張が走ったことは記憶に新しい。富士山噴火で過去最大のものは、864年6月に発生した「貞観噴火」。1707年10月には、南海トラフでM8.6の宝永地震が発生し、その49日後に、もう一つの大噴火「宝永噴火」が発生した。富士山の噴火はこれを最後に発生していない。宝永噴火の例だけで、地震と噴火を結びつけることはできないが、専門家が富士山噴火に注目する理由は、マグマ蓄積の可能性だ。フィリピン海プレートの沈み込む場所が2つに分かれることで、2つの沈み込みの境界にあたる富士山周辺では、プレート深部のマントルで発生したマグマが上昇しやすく、”マグマだまり”に蓄積されているとの見方もあるようだ。
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