放射線医学総合研究所(千葉市)は、コンピューター断層撮影法(CT)検査で患者が被曝ひばくするXエックス線の量を、医療施設から自動的に集める新たなシステムを構築し、運用を始めた。
今年度末までに20万件の検査データを集め、望ましい線量を高い精度で割り出し、患者に過剰な被曝をさせないようにするのが狙いという。
CT検査で患者が受ける線量は、医療施設ごとに大きくばらついていることが、日本診療放射線技師会などの調査で明らかになっている。これを踏まえ、放医研が事務局を務める関係学会などの専門組織は4月、望ましい線量の参考値案を初めてまとめた。だが、基にした検査データは主に医療施設へのアンケートで集めたもので、検査データの数などに限りがあることが課題になっている。
新たなシステムは、医療施設のCT装置や検査データを蓄積しているコンピューターから、全ての検査データを自動的に収集し、DVDや通信回線を使って放医研へ集める。個人を特定できない形で患者の年齢や性別、CT装置のタイプなどを、線量とあわせて把握できる。
放医研は、東北大病院や大阪警察病院など7施設で順次システムの運用を始めた。年度内に17施設まで拡大し、計20万件の検査データを収集。その後もさらに運用を広げていく。高い精度で適切な線量を割り出し、その結果は公表する。各地の医療施設に参照してもらって過剰な被曝の削減につなげてもらうという。
(2015年5月8日 読売新聞)
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