10月に和歌山県である「紀の国わかやま大会」(全国障害者スポーツ大会)の会場で、手話や要約筆記で聴覚障害者とコミュニケーションを取るボランティアの研修会が、各地で開かれている。大会の全会場に「情報保障席」を設けると決めている県は「取り組みを通じ、会場を訪れる人に手話や要約筆記を知ってもらう機会にもしたい」と話している。
手話や要約筆記を用いるのは情報支援ボランティアと呼ばれる。県障害者スポーツ大会課によると、2013年9月に募集を始めたところ、想定の600人を上回る700人超が集まった。
会場で流れるアナウンスや試合の状況を情報保障席のホワイトボードに書いたり、聴覚障害がある競技入賞者に手話で感想を聞いたりするのが主な役割になる。
ただ、大会では目立つ服を着ることもあって交通手段や食事についてなど、いろいろなことを来場者から聞かれることも多い。競技のルールはもちろん、会場内の配置やタイムスケジュールも把握しておく必要があるという。このため、県は4月から、各競技の会場となる市町にボランティアに集まってもらい、研修会を開いている。
上富田町朝来の上富田スポーツセンターではこのほど、同町が会場となっている「フライングディスク」の情報支援ボランティアを対象にした研修会があった。
約60人の参加者は、競技団体の役員から競技について説明を受けたほか、県聴覚障害者情報センターの担当者からは「ボランティアの皆さんにも楽しんでもらいたい」などと助言を受けた。
要約筆記を担当する、すさみ町周参見の主婦芝恵子さん(51)は「何かの役に立てたらと思って応募した。和歌山の人は心が温かいなと感じてもらえるように頑張りたい」。自身も聴覚障害がある田辺市高雄2丁目の北武尚さん(75)は手話ボランティア。「初めてのことで多少の混乱はあるかもしれないが、皆さんと力を合わせ、笑顔でおもてなしをしたい。勇気を持って頑張ります」と笑顔だった。
各競技の研修会は5月10日まで。6月7日にはリハーサルとなる「県障害者スポーツ大会」があり、ボランティアらが役割を確認する。本番は10月24~26日。
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