認知症のような症状が出る脳の病気「特発性正常圧水頭症」と診断された患者は、全国で年間約1万3000人と推計されることが、厚生労働省研究班(研究代表者=新井一・順天堂大脳神経外科教授)による初の実態調査で分かった。
この病気は、適切な治療をすれば症状が改善する人が多く、研究班は「認知症との違いについて啓発を進める必要がある」としている。
特発性正常圧水頭症は、脳内の「脳室」と呼ばれる場所に原因不明で髄液が過剰にたまる病気。周辺の脳組織を圧迫し、歩行障害、尿失禁、物忘れなどを引き起こす。アルツハイマー型などの認知症と間違われやすいが、髄液の量を常時監視し、過剰になれば排出させる器具を体内に埋め込むことで症状が改善する。
研究班は、無作為に選んだ全国の4220病院に、2012年の患者数を尋ねた。1805施設から回答があり、患者は計3225人で、全国では1万2900人と推計した。
3225人のうち、こうした処置を受けた1006人(平均年齢76歳)について調べたところ、「(治療の)効果が明らかにあった」とされたのは887人と、9割近くに上った。
(2015年4月7日 読売新聞)
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