電子レンジは、一般家庭において日常的に使用されており、広く普及しています。現在では単機能電子レンジのほか、電子レンジにオーブンの機能を組み合わせたオーブンレンジや過熱水蒸気を利用して加熱するものなど、様々なタイプの商品が販売されています。
PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、電子レンジの発煙や発火などに関する相談について、2009年度以降669件(注)寄せられています。これらの相談の中には「電子レンジ庫内側面から火花が出た」といったもののほか、「電子レンジで野菜を加熱していて、野菜から火が出た」といった食品に関わる相談も寄せられており、発煙・発火の形態も一様ではありません。また、長年使用された電子レンジによる発煙・発火などの事例もみられ、庫内の汚れの蓄積や経年劣化した状況で事故が発生していることも考えられます。
そこで、これらの相談事例をもとに、電子レンジにおける庫内壁面及び食品の発煙・発火についてテストを行い、消費者へ注意喚起及び情報提供を行うこととしました。
- (注)2009年度以降受付、2015年1月31日までの登録分。
電子レンジの加熱原理及び庫内の構造について
電子レンジは2450±50MHzの周波数を持った電磁波(以下、「マイクロ波」といいます。)を利用して加熱を行う調理器です。このマイクロ波は電子レンジに内蔵されているマグネトロンと呼ばれる真空管から照射され、1秒間に約24億5000万回という速さでプラスとマイナスの極が入れ替わる振動をしています。このマイクロ波の振動により、加熱対象物に含まれる水分子が振動し、このとき発生する熱によって加熱されます。
また、電子レンジには、庫内にターンテーブルを設置し、回転する加熱対象物に特定の箇所からマイクロ波を照射するもののほか、庫内にターンテーブルがなく、底面の下(内部)に設置されたアンテナを回転させてマイクロ波を拡散させるものがあります。
テスト結果
電子レンジ庫内壁面の発煙・発火の例
- マイクロ波の出口カバーに食品カスが付着したまま加熱すると、その部分にマイクロ波が集中し、発煙・発火することがありました。
電子レンジ庫内において食品が発煙し、発火に至る例
- 加熱しすぎると食品が発煙・発火し、危険な状態になりました。
庫内壁面の発煙・発火テストの例
※写真の商品は事故事例とは関係ありません
取扱説明書等の注意表示
- 取扱説明書や添付文書には庫内が汚れた状態で使用しない旨や食品を加熱しすぎない旨の表示がありました。
消費者へのアドバイス
- こまめに庫内の手入れを行い、汚れた状態で使用しないようにしましょう。
- 取扱説明書をよく読み、食品を加熱しすぎないように注意しましょう。
- 万一、庫内で発煙・発火したときは、動作を停止させて電源プラグを抜き、扉を開けずに煙や火が収まるのを待ちましょう。
業界への要望
電子レンジ庫内における発煙・発火事故を未然に防止するため、消費者に対し発煙・発火の危険性や手入れの重要性など、さらなる啓発活動を要望します。
要望先
- 一般社団法人日本電機工業会
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課
- 経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150319_1.html