消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
「約2年前にガソリン携行缶を購入し、農機具用のガソリンを保管していたところ、携行缶の底からガソリンが漏れているのに気付いた。ガソリンが漏れた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
当該品は重ね置きが可能な形状のガソリン携行缶でした。当該品は上面の塗装につやはなく、退色が見られました。下面は大きく膨らみ、上面も僅(わず)かに膨らんでいましたが、外側から力を受けたような跡は見られませんでした。
下面にはシワが寄ったような変形が2カ所あり、そのうちの1カ所を囲むように染みが見られることから、ガソリンの漏れは大きくシワが寄ったように変形した箇所で起こったと考えられました。ガソリンが漏れたと考えられる箇所の内面には大きな腐食は見られませんでしたが、亀裂が見られました。
また、高温になる場所で保管すると変形や破裂の原因となるという旨の表示がありました。
当該品には外から大きな力を受けた痕跡が見られないため、内容物であるガソリンが高温環境下で多量に気化したことで生じる内圧の上昇により変形したと考えられました。そこで、同型品にポンプで水を送り込むことで加圧する内圧(水圧)試験で、内圧の上昇によりどのように変形するかを調べました。その結果、水圧を加えると下面中央部分が膨らみ、約100kPa(≒1気圧)加えたところ下面が当該品のように変形しました。
以上、当該品はガソリンが漏れた箇所の内面には変形に沿った亀裂が見られ、同型品による内圧試験では当該品と同様に変形したことから、当該品は気化したガソリンによる内圧で変形し、気温変化による内圧の変化の繰り返しによって変形に沿って亀裂が生じ、ガソリンが漏れたものと考えられました。また、上面の塗装につやがなく、退色が見られたことから、当該品は日光に曝(さら)される環境で保管された経緯があったものと考えられました。
依頼センターからテスト結果を相談者に説明しました。
ガソリンは揮発性が高いため、気温の変化により内圧で携行缶が変形することがあります。直射日光が当たる場所や高温になる場所等での保管は避け、適宜、火気に気を付けながらエア調整ネジにより内圧を調整しましょう。また、緩めたエア調整ネジは、調整後に確実に締めるようにしましょう。
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150319_5.html