我が国において、認知症の人の数は2012年(平成24年)時点で約462万人、65歳以上高齢者の約7人に1人に当たると推計されている。この数は高齢化の進展によりさらに増加すると見込まれており、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症の人は約700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人になると推計されている。認知症は、あなたの身近な人やあなた自身に起きるかもしれないのだ。政府も、今年1月に上記の推計値を踏まえた「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しているが、まずは病気について正しい理解を深めていただくことが大切だ。政府広報オンラインでも『知っておきたい「認知症」のキホン』について紹介している。
■認知症とは?
「認知症」とは、老いにともなう病気のひとつ。さまざまな原因で脳の細胞が死ぬ、または働きが悪くなることによって記憶・判断力の障害などが起こり、意識障害はないものの社会生活や対人関係に支障が出ている状態をいう(※およそ6カ月以上継続が目安)。その認知症の大部分を占める疾患が、「アルツハイマー型認知症」や「脳血管性認知症」。
年をとれば、だれでも思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりするが、「認知症」は、このような「加齢によるもの忘れ」とは違う。体験したこと自体を忘れてしまったり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性がある。
■「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いは?
【加齢によるもの忘れ】
・体験したことの一部 (例:朝ごはんのメニュー)を忘れる
・物忘れの自覚がある
・探し物に対して、自分で努力して見つけようとする
・日常生活への支障がない
・症状の進行は極めて徐々
【認知症によるもの忘れ】
・体験したことのすべて(例:朝ごはんを食べたこと自体)を忘れている
・もの忘れの自覚がない
・探し物に対して、誰かが盗ったなどと、他人のせいにすることがある
・日常生活へ支障がある
・症状が進行する
■認知症の症状は?
認知症には、「中核症状」と「行動・心理症状」の二つの症状がある。「中核症状」は、記憶障害、理解・判断力の障害など、脳の神経細胞が死んでいくことによって直接発生する症状で、周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなる。「行動・心理症状」は、本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因がからみ合って起こる症状で、うつ状態や妄想などがある。
例えば、元気がなくなり、自信を失いすべてが面倒になって引っ込み思案になったり、他人にものを盗られたと妄想したり、行動がちぐはぐになって徘徊したりすることがあげられる。
■周囲ができる認知症サポートは?
認知症になる可能性は誰にでもあるといわれている。私たちと同様、認知症を患った人たちの心情も様々だ。また、「認知症の本人は自覚がない」という考えも大きな間違いであり、最初に症状に気づき、誰より一番不安になって苦しむのは本人なのだ。認知症の人は理解力が落ちているものの、感情面はとても繊細。あたたかく見守り適切な援助を受ければ、自分でやれることも増えていくだろう。認知症という病気を理解して、さりげなく自然で優しいサポートを心がけたい。
■「認知症」の人のために家族が出来る10か条
1.見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン
2.早めに受診を。治る認知症もある
3.知は力。認知症の正しい知識を身につけよう
4.介護保険など、サービスを積極的に利用しよう
5.サービスの質を見分ける目を持とう
6.経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を
7.今できることを知り、それを大切に
8.恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう
9.自分も大切に、介護以外の時間を持とう
10.往年のその人らしい日々を
※出典元:公益社団法人認知症の人と家族の会
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150319-00010007-dime-soci