電車では、多くの人がスマートフォンに見入っている。職場では、パソコンは欠かせない仕事道具だ。生活の必需品になったスマホやパソコンだが、東大宮総合病院(さいたま市)眼科医長の平松類さんは「網膜の病気や近視など様々な問題の原因となっている可能性がある」と指摘する。
スマホやパソコンは、視界の中央がゆがんだり欠けたりする難病「加齢黄斑変性」の一因とも考えられている。この病気は網膜の中心部にある黄斑が傷んで起きる。スマホやパソコン、テレビから出る光に多く含まれる青色の光「ブルーライト」が、他の色の光に比べ黄斑を傷つけやすいためとみられている。
近視は物を目の近くで見るほど進む。スマホやパソコンは近くで見る機会が多く、視力低下の要因になる。見続けると、まばたきの回数が減るので、涙の分泌量が減って目が乾燥する「ドライアイ」にもなりやすく、目がごろごろしたり視界がかすんだりする症状を引き起こす。
スマホやパソコンを近くで見るほど目へのダメージは大きくなる。なるべく離して見ることが大切だ。特にスマホは手元で見ることが多いが、「40センチ以上離してほしい」と平松さん。モニターからの光が強いと網膜へのダメージも大きくなるため、明るさを、最大値の半分程度に下げるといい。意識的にまばたきをすることや、寝転がって見ないことはドライアイの予防になる。
一時的な近視やドライアイには、それぞれ、遠くをぼんやり3分ほど眺めることや、電子レンジで温めたタオルを目にあてて涙の成分の分泌を促すことが有効だという。
(2015年3月15日 読売新聞)
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