ベビーパウダーの歴史は古く、日本では明治39年(1906年)に和光堂が「シッカロール」を発売したのが最初と言われています。かつては、お風呂上がりの子供がパウダーで首や顔の周辺を白くしているさまは、一種の夏の風物詩と言える光景でした。ひるがえって、現在ではベビーパウダーを赤ちゃんに使うか使わないか、ずいぶんと意見が分かれているようです。ここでは、効果的な使用法をご紹介したいと思います。
◆ベビーパウダー使う派・使わない派
ベビーパウダーを使っている人と、使わない人の感想・意見を集約すると、次のようになるでしょう。
●使っている人
・サラサラして使っていて気持ちいい
・子供の肌にトラブルがないので、いいと思う
・自分も使って育った
●使わない人
・毛穴をふさぐ
・吸いこむと身体に悪い
・ダマになるとかえって皮膚によくない
・医師や保健師、助産師から使わないほうがいいと言われた
◆ベビーパウダー=天花粉の成分
日本では、ベビーパウダーはかつて、「天花粉粉」あるいは「天瓜粉」と呼ばれ、ウリ科のキカラスウリの根からとった白いデンプンのことを指しました。粉末が雪(天花)のようにサラサラしていることが、その名の由来です。デンプンは水分をよく吸い取るので、その吸湿性を利用して、汗疹などの治療にも用いられていました。現在、ベビーパウダーの原料は、コンスターチパウダーやタルクでできています。1980年代の後半には、このタルク(滑石)にアスベストなどが含まれていることが判明し、問題になったことがありました。自分が子供の頃にその問題が起こったというお母さんもいることでしょう。
◆ベビーパウダーの2つの働き
現在は、すべてのタルクにアスベストが含まれないよう義務づけられているので、安全性に問題はなくなっています。ベビーパウダーの主要な働きのひとつは、肌から汗や余分な水分を蒸発させて、乾燥させることです。タルクが肌から毛細血管現象で汗を吸い上げ、蒸発を促して肌の摩擦や蒸れを軽減する作用があります。使わない派の中には、「毛穴をふさぐ」という人がいますが、それに関する医学的根拠は明らかになっていません。もうひとつの働きは、皮膚がこすれる部分の摩擦を防ぐことです。これにより、肌着やオムツの当たる部分がこすれたり、股ズレを起こしたりするのを防ぎます。
◆ベビーパウダーの効果的な使用法
ベビーパウダーを使うと、かえって肌かぶれするという人がいます。その場合は、密閉した缶にパフを入れていることが原因かもしれません。湿ったパフをそのまま缶に入れると、雑菌が繁殖してしまいます。その状態でパフを使うと、かぶれてしまう可能性があります。また、ダマになってしまうのはつけ過ぎです。シェーカー型のものを使う、あるいは缶の場合はスプーンですくって手で塗るようにすればつけ過ぎは防げます。また、そうすることで空気中に舞うパウダーもほとんどなくなり、吸い込みの心配も解消するでしょう。
もちろん、ベビーパウダーを使わなければいけないわけではありません。ただ、助産師としてはあせも予防としてのベビーパウダーの威力を知っているので、ここではベビーパウダーを使うことを推奨してみました。もし風評の影響で使わないお母さんがいるのだとすれば、「もったいない」と思った次第です。
●南部洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師、株式会社とらうべ社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべを設立
Mocosuku編集部
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