在宅で人工呼吸管理、管理栄養などの医療を受ける重度心身障害児が増加している中、神戸大大学院保健学研究科の高田哲教授(小児保健)が、治療に日常的に関わっている全国60施設の医師・看護師らを対象にアンケートを実施したところ、8割が「災害時の対応について考えていない」と答えた。重度心身障害児の避難をめぐっては、東日本大震災でも課題が浮き彫りになったが、支援態勢はほぼ未整備のままだ。
兵庫県小児科医会の調査では、重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複し、在宅で医療を受けている20歳未満の障害者・児は2007年には県内に118人いたが、14年には734人と6倍に増えた。医療が発展したほか、入院施設の不足などが背景にあるとみられ、全国的な傾向という。
一方で、災害時の避難受け入れ態勢は進んでいない。阪神・淡路大震災では、重度障害児がいる家庭の半数以上は自宅にとどまり、14%は自家用車の中や病院に避難していたが、東日本大震災でも、その比率はほぼ同じだったという。
アンケートでは、災害時の対応について、「よく考えている」は3%、「かなり考えている」は15%にとどまり、「あまり考えていない」が72%、「全く考えていない」も8%に上った。
地域で避難支援を受けるための要援護者情報登録制度についても、治療対象者の家族らと「話す」と答えたのは5%にとどまり、18%は「あまり話さない」、75%は「全く話さない」と答えた。
高田教授は「重度心身障害児の在宅医療は、一般に思われている以上に高度で、当事者や医療関係者の関与なくして福祉避難所の態勢整備は難しい。重度障害者に対処できる医療機関のすそ野を広げることも災害時の対応強化につながる」と話す。
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