おじいちゃんの様子がちょっと変!今まで、こんなこと一度もなかったのに、朝様子を見にいったら、お布団の中で粗相を。。こんな経験されたことありませんか?
認知症の症状は、「中核症状」と「周辺症状」の大きく2つに分けられます。今回はその中で、周辺症状の「失禁」のお話です。周辺症状とは「行動・心理症状」とも言われ、最近ではBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)という略語も登場しています。
認知症による失禁
認知症の方の失禁の理由はいくつかあります。
・トイレの場所が分からなくなる。
場所の見当識が障害されることで、トイレに行きたくても場所が分からなくなり、探しているうちに失禁してしまうということがあります。対応策としてはトイレに大きな目印を付けておく」「夜はトイレまでの通路に明かりをつけておく」「ふらつきがあり移動が不安な場合はポータブルトイレの導入を検討する」といった手法が考えられます。
・トイレの感覚が分からなくなる。
認知症になると尿意を感じる機能が低下し、トイレに行くための行動が遅れ失禁するようになります。
失禁を防ぐために介護者が出来る事は…
(1)ご本人の排泄周期をチェックし、時間をみながら定期的にトイレの声かけを行う。 行動が遅れるのであれば、予めトイレに行く時間を決めておいて排泄の誘導・声かけを行うとよいでしょう。失禁は本人の自尊心が大きく傷つく事ですから、失敗しにくい環境にしていく事も必要と思われます。
(2)ご本人がトイレに行く前に起こす前兆を察知する。 特に同居されている介護者の方であればご本人の動きをよく観察してみて下さい。なんだか落ち着かない、急に立ち上がろうとする…といった行動のあとに排泄に及ぶという事もあります。見当識が障害されているのでそのまま放っておくと失禁するリスクがあるので、声かけしてトイレへ誘導するとよいでしょう。
薬の影響で夜間頻尿、頻回な失禁で悩んでおられる方もおられるかもしれません。ですが、出来るだけオムツは使わないよう心がけて頂きたいと思います。オムツに排泄する事は介護者の負担を軽減できる反面、ご本人の自立を阻害し、排尿感覚を奪ってしまうという危険性があります。残存機能を維持し、立位や移乗が可能であればトイレ(ポータブルトイレ)を利用できるよう支援をお願いしたいと考えます。