NHK Eテレの教育番組を担当する、NHK制作局チーフ・プロデューサーの桑山裕明氏。番組制作のため多くの授業を見る中で、「こんな先生に教えてほしい」と思うことがあるという。今回は、小学6年生の理科の授業を行う石川県のAN先生を紹介してもらった。
紹介するのは、アルミニウムを塩酸(塩化水素の水溶液)に入れると溶けるという、試験管の中で起きる化学反応を学ぶ理科の授業です。まず試験管の中にアルミニウムを入れ塩酸を注ぎ、じっくり観察することから始まります。
試験管の中が泡でいっぱいになり、試験管が熱くなっていきます。何度になっているか、温度計で確かめると50度以上に……。そして、実験を開始してから40分後、アルミニウムは跡形もなく消えてしまいました。
先生は、この授業を通じて教科書を一度も開かせませんでした。目の前の事実だけを材料に反応のナゾを考えさせるためです。
好奇心をかきたてられた子どもたちは、試験管の中で一体何が起きたのか、これまでの知識を総動員して考え始めます。先生は、班ごとで話し合い「一番納得できる考えをイメージ図にするよう」に言いました。
話し合いには、ルールが2つあります。
(1)思ったことは必ず伝える。
(2)納得するまで話し合う。
AN先生は、「思ったこと」や「気付いたこと」を言葉にして、さらに、班全員が納得したことをイメージ図に表すように指示しました。そして、その図では表しきれないことを言葉にして、クラス全員に説明して納得してもらいます。この「映像」と「音声」で伝える作業は、コミュニケーション力の向上だけでなく、情報を活用する過程で、思考力が自然に働くことになります。
「見つけた!」「わかった!」を経験した子は……「学ぶことを面白がれる」
AN先生の言葉で、印象に残った言葉のひとつです。
出典:[ベネッセ教育情報サイト]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150209-00010001-benesseks-life