咽頭と喉頭のがんについて詳しく伝える。リスクは喫煙と飲酒。自覚症状は声のかすれ・飲み込みにくい・首のしこり・扁桃の腫れなど。治療法は放射線と抗がん剤と手術。
1.自覚症状
のどのがんには、咽頭(いんとう=鼻の奥から口の奥、食道に至る部分)にできる咽頭がんと、喉頭(こうとう=気管の上にあって空気が通り、声帯がある)にできる喉頭がんがあります。さらに、咽頭がんは、がんができた場所によって上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分かれます。のどには、発声や、嚥下[えんげ]、呼吸などの機能が集まっているため、がんができると、それらの機能が障害され、生活の質が大きく損なわれる可能性があります。
のどのがんは男性に非常に多く、50~60歳代から増えます。自覚症状には、「声のかすれ(喉頭がん)」「飲み込みにくい・のどの違和感(中咽頭・下咽頭がん、喉頭がん)」「首のしこり(咽頭がん・喉頭がん)」「耳閉感・鼻詰まり(上咽頭がん)」「扁桃[へんとう]の腫れ(中咽頭がん)」などがあります。こうした症状が2週間以上続く場合は要注意です。のどのがんが疑われる症状がある場合は、耳鼻咽喉科や頭頸[とうけい]科を受診しましょう。
2.下咽頭がんと喉頭がんの治療
治療は、がんのできた部位や進行の程度によって異なります。下咽頭がんや喉頭がんの場合、あまり進行していなければ声帯を温存して根治を目指すことができます。治療法には、放射線と抗がん剤を組み合わせた方法と手術の2つがあります。特に、早期がんの場合は放射線と抗がん剤による治療、あるいは、放射線による治療だけでも根治を目指せます。また、最近は、口から手術器具を挿入して行う経口的手術という負担の軽い手術も普及し、手術でも声帯を温存して根治を目指せるようになってきました。経口的手術では傷が最小限に抑えられ、手術後の入院期間も10日~2週間と短く済みます。
下咽頭がんや喉頭がんがすでに進行している場合には、首や気管を切開し、喉頭をすべて摘出する手術が行われます。喉頭を全摘したあとは、気管と首をつなげて、首の付け根に呼吸用のあなを開けます。また、手術後は声帯に変わる別の発声方法を習得します。下咽頭がんの場合は下咽頭と食道の一部も摘出するため、小腸の一部を移植して、食べ物や飲み物の通り道を再建します。
☆ 上咽頭がん・中咽頭がんの治療については、
きょうの健康テキスト 2015年1月号に詳しく掲載されています。
※2015年1月現在の情報です。
NHK「きょうの健康」2015年1月15日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20150115-h-001.html