目的
歩行型ロータリ除雪機(以下、「除雪機」という。)は、免許なしでだれでも簡便に扱える反面、構造上、雪をかき込むオーガ等が露出しており、使用上の不注意により重傷を負う可能性がある機械です。国民生活センターでは、2012年(平成24年)12月に公表した「歩行型ロータリ除雪機の使い方に注意」で除雪機に関する事故の分析を行い、オーガに巻き込まれる事故や、安全装置が作動しない状態で使用したために除雪機にひかれる事故などについて危険性を検証するとともに、誤った使い方をしないよう消費者へ注意喚起を行いました。
しかし、その後も引き続き事故が発生しています。事故情報データバンク(2009年9月~2015年1月10日までの登録分)によると、除雪機の事故は45件寄せられ、そのうち14件は死亡事故です。また、医療機関ネットワーク(2010年12月~2015年1月10日までの伝送分)には7件の事故が寄せられています。そこで、除雪機による事故の防止のため、消費者へ再度注意喚起することとしました。
前回のテスト結果(平成24年12月20日公表より)
除雪機に特徴的な(1)オーガによる事故、(2)後進時の事故(除雪機と壁に挟まれる事故、除雪機にひかれる事故)、(3)ブロアによる事故の3種類の事故について再現テストを行いました。
- (1)オーガとマネキンの足が接触すると、衣類の一部がオーガの刃に引っ掛かり、一瞬で足全体がオーガに引き込まれました。
- (2)デッドマンクラッチが作動しない状態で、除雪機を後進させるとマネキンが転倒したり壁に挟まれたりしても停止しませんでした。
- (3)手指の代わりに人参(にんじん)を投雪口から差し込み、回転するブロアに接触させたところ粉々に砕かれ、先端部がブロアの形に削られました。
消費者へのアドバイス
前回のテスト結果などを踏まえて、以下のことを再度アドバイスします。
- 安全装置が正しく作動しない状態では絶対に使用しないようにしましょう。
- 除雪機を使用する場合は、周囲に人がいないことを確認し、人を絶対に近づけさせないようにしましょう。また、不意に人が近づいた場合には除雪機を直ちに停止できるような状態で除雪を行いましょう。
- 投雪口に詰まった雪を取り除く際には必ずエンジンを停止し、オーガやブロアの回転が停止したことを確認してから雪かき棒を使用して雪を取り除きましょう。
- 事故を防ぐために、除雪作業を行う前に障害物の位置などを確認する、滑りにくい履物を履くなど、取扱説明書に書かれている準備を行いましょう。また、除雪機を使用する際、特に後進時は足元や周囲の障害物に注意を払い、無理のない速度で使用しましょう。
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 経済産業省 製造産業局 産業機械課
- 一般社団法人日本農業機械工業会 除雪機安全協議会
本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150126_2.html