「イスラム国」「ISIS」「ISIL」という言葉をニュースで耳にする機会が増えました。しかしこれらの言葉、実はよく知らない……という方も多いのではないでしょうか?無宗教の人が多い日本では馴染みの薄い言葉ですが、だからといって詳しく知る必要がないかというと、そんなことはありません。
世界的に問題になっている事柄だからこそ、正しい知識をしっかり知っておきたい。そんな方のために、簡単に「イスラム国」「ISIS」「ISIL」の基礎知識やそれぞれの違いについてご説明します。
名称の意味と由来
「イスラム国」
イスラム国とは、2014年6月にISIS/ISILと呼ばれる組織が独自に宣言した国家(※)の呼称です。組織側は自らのことを指すときも、それまでのISIS/ISILではなく、「イスラム国」と名乗るようになりました。
英語名はIslamic Stateで、略称はISです。
「ISIS」
イスラム国家の樹立を宣言した組織の名称で、イスラム国の前身です。
- 「イラクとシャムのイスラム国(Islamic State in Iraq and al-Sham)」の略称
- 「イラクとシリアのイスラム国(Islamic State in Iraq and Syria)」の略称
という2つの説があります。
ISIS(イシス)は、偶然にも古代エジプト神と同じ名前で発音しやすいため、英語圏で好まれる呼び方です。なお、「アイシス」と読まれることもあります。
「ISIL」
同じくイスラム国家の樹立を宣言した組織の名称で、イスラム国の前身。つまりは、ISISと同義です。こちらは「イラクとレバントのイスラム国(Islamic State in Iraq and the Levant)」の略称で、オバマ大統領や国連、一部の報道機関はこの呼称を使っています。
しかし、「シャム」と比べて「レバント」は意味が限定されるため、意訳の正確性を疑問視する声もあります。
こちらは、「アイシル」または「イシル」などと読まれることがあります。2015年1月26日、自民党では「イスラム国」ではなく「ISIL(アイシル)」もしくは「いわゆるイスラム国」という表現を統一して使うよう申し合わせました。
おまけ:「DAIISH」
欧米や日本ではあまり知られていませんが、「DAIISH」という略称もあります。これは、アラビア語の組織名(al-Dawla al-Islamiya fi Iraq wa al-Sham)を英語表記した際の頭文字をつなげたものです。
しかし、DAIISHは反対派がよく使う呼称であり、否定的なニュアンスが含まれているとして、組織側がこの呼称に意義を唱えていると言われています。
結論
要するに、「ISIS」「ISIL」「DAIISH」は、すべて同じ組織を指す言葉であり、地域や人によって呼び方が異なるだけのようです。これらが国となったのが「イスラム国」ということですね。