近年、進歩している肺がんの治療。検査で早く見つかるケースが増えており、手術できる患者が増えている。手術の技術も高度になり、体への負担が少ない手術も可能に。
1.肺がんの治療
肺がんの治療は手術、化学療法、放射線療法の3つで、タイプと進行度で異なります。早期に発見されれば、体への負担が少ない手術での治療が可能です。
肺がんのタイプは、小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大別され、非小細胞肺がんはさらに、肺の奥の方にでき日本人に最も多い腺がん、太い気管支にできる扁平上皮がん、肺の隅の方にでき比較的まれな大細胞がんの3つに分けられます。小細胞肺がんは進行が速く転移しやすいがんです。扁平上皮がんは喫煙と深く関係があり、比較的早期から症状が出ます。腺がんは、早期に症状が出にくく気づきにくいといえますが、CT検査で発見しやすいがんです。
小細胞肺がんの治療は、化学療法と放射線治療の2つを中心に行います。非小細胞肺がんは、早期であれば手術を第一に考えます。進行している場合は化学療法や放射線療法で治療します。これらの治療と並行し、がんと診断された直後から、身体的な苦痛と精神的な苦痛の双方に対応する緩和ケアが行われます。
2.手術
肺がんの手術は早期の場合に行われます。手術の方法は、がんのある肺葉を切除する肺葉切除術、がんのある側の肺を切除する肺全摘術、肺葉切除術より小さく切除する縮小手術があります。最も一般的に行われているのは、肺葉切除術です。縮小手術は、がんが非常に小さく性質がおとなしい場合に行われる方法で、早期に発見されるがんが増えるなか、頻度が高くなる傾向にあります。
手術法には、胸腔鏡手術と開胸手術の2つがあります。胸腔鏡手術では、背中と脇を3~4か所小さく切開し、そこからカメラや手術器具を入れて、カメラが映し出す画像をモニターで見ながら、器具を操作します。傷口が小さく、体への負担も少ないため、日本では肺がんの手術全体の約6割を占めています。進行度などによっては開胸手術の方が安全なこともあるため、2つの方法を使い分けて、安全で確実な手術が行われています。
☆ 肺がんの検査などについては、
きょうの健康テキスト 2015年1月号に詳しく掲載されています。
※2015年1月現在の情報です。
NHK「きょうの健康」2015年1月5日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20150105-h-001.html