腰痛は現代病のひとつと言われています。加齢や姿勢の悪さといった本来の原因に加えて、現代の生活習慣の中に腰痛の原因がたくさん潜んでいるからです。喫煙、睡眠不足、肥満、運動不足……。一見、腰痛とは関係ないと思われるかもしれませんが、実は密接な関係があるのです。ここでは、腰痛持ちの人が避けるべき4つの習慣とその理由を説明します。
◆その1:喫煙
タバコは万病の元と言われていますが、喫煙者に椎間板ヘルニアの人が多いのをご存知でしょうか? 背骨(脊柱)には骨と骨の間にクッションの役割をする椎間板があり、この椎間板は周囲の毛細血管から栄養を吸収しています。タバコを吸うとニコチンが血管を収縮させるため、椎間板へ栄養が行き渡らなくなり、椎間板を変性させてしまう原因になります。タバコをやめることで、壊れていた椎間板が回復する可能性もあります。
◆その2:睡眠不足
実は、睡眠不足も腰痛と大きく関係しています。睡眠不足になると全身の血流が悪くなり、喫煙と同じように椎間板が栄養不足になるのです。また、睡眠時間はたっぷりとっているのに寝た気がしないという場合は、寝具などの睡眠環境も確認してください。柔らかくて軽い寝具が好まれる傾向にありますが、敷布団が柔らかいと腰が沈んで反ってしまい、腰痛の原因になります。適度に硬いほうが身体には良いのです。枕の場合は高さがポイント。高くても低くても腰痛を誘発するので、要注意。寝返りを打ちやすく、首元を適度に支えてくれる高さが理想です。また、就寝直前までパソコンやスマートフォンの画面を見るのも、寝つきを悪くするので避けましょう。
◆その3:肥満
お腹まわりに肉がついてきたら、急に腰が痛くなってきた……。そんな人はいませんか? 普段の生活で、立ったり座ったりの動作をするだけで、腰には体重の約2.5倍の負荷がかかると言います。体重60キロの人は、なんと150キロもの負担がかかっているのです。体重が増えれば増えるほど、それだけ腰は悲鳴を上げることになります。また、肥満になると、どうしてもお腹が前に出て、無意識に腰を反らせてバランスを取るようになり、腰痛の原因になります。メタボ体形で腰痛に悩んでいる人は、体重を減らすことを考えましょう。
◆その4:運動不足
腰痛の原因の多くは、運動不足ということがわかっています。デスクワークなどで同じ姿勢でいると血行が悪くなり、腰の筋肉が固くなります。これに加えて腰まわりの筋肉も衰え、上半身を支えている腰に負担がかかるため、腰痛を引き起こすのです。便利な交通機関に頼る、食器洗い機や自動掃除機に家事を任せるといった「らくちん生活」をしていると、運動不足になりがちです。会社帰りに1駅分歩くなど、日頃から適度な運動を心がけていれば、腰痛予防に役立ちます。
◆禁忌とされてきたエクササイズで腰痛を克服!
腰痛の時に身体を動かさないでいると、関節や腰の筋肉がどんどん衰え、悪化させてしまう可能性があります。もちろん、激痛がある時には安静が必要です。しかし、現在では痛みがさほど強くない場合は適度な運動をしたほうが治りが早いと考えられています。例えば、SMAPの中居正広さんやダチョウ倶楽部の肥後克広さんは、腰部を伸展させるエクササイズである「マッケンジー体操」で腰痛を克服したことが話題になりました。肥後さんは、20年以上の腰痛をこれで完治させたそうです。腰痛は治らないとあきらめず、自分に合った運動を探してみてはいかがでしょうか。
<監修>
整形外科医樋口二三男
(東京医科歯科大学整形外科理事、日本医師会認定産業医)
Mocosuku編集部
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