寒い冬には欠かせない、軽くて暖かいダウン(羽毛)。アパレルメーカーで不用になったダウンを回収し、再利用する動きが広がっている。欧米ではすでに貴重な循環資源として認知されており、国内でも長く使える素材として有効活用が進みそうだ。(油原聡子)
◆4、5年前から
羽毛製品メーカーなどで作る日本羽毛製品協同組合(東京都中央区)によると、ダウンは、食用に飼育されているガチョウやアヒルなど水鳥から副産物として取れる素材。胸元に生えている柔らかい羽毛を指す。
日本で売られている衣類や寝具などに使われる羽毛の多くは、中国や台湾などから輸入されている。4、5年ほど前から、生産国の中国などで急速に需要が拡大し、原料不足の状態が続いているという。
そこで注目されているのが、リサイクルダウンだ。ダウン製品を回収、中に入っている羽毛を取り出した後、洗浄し、新たな製品に生まれ変わらせる。国内では羽毛布団のリサイクルが広まりつつあるという。
◆厳しい基準で
リサイクルダウンに力を入れているのが、羽毛素材メーカーの河田フェザー(三重県明和町)だ。平成23年からリサイクルダウンの回収を本格的に始めた。社団法人、三重県共同募金会の協力を得て、今年は羽毛布団やダウンジャケットなど約620枚を回収した。
ダウンは使用しているうちにぶつかり合って、ほこりとなる。再利用するには、ほこりや汚れを取り除いて洗浄し、乾燥する工程が必要になる。同社では、新毛よりも厳しい清浄度の基準を設けて、ダウンを再生。新毛の8割程度の価格で国内のアパレルメーカーなどに出荷している。
執行役員の黒田健さんは「欧米ではダウンのリサイクルは一般的だが、日本では、捨てられてしまうことがほとんど。しかし、ダウンは焼却する際に、1キロあたり約1・8キロの二酸化炭素を排出するとされる。リサイクルは、環境保全への貢献にもつながる」と話す。
◆共同で回収・販売
リサイクルダウンを広めようと、河田フェザーとアパレルメーカーが共同で回収と販売に乗り出した。
スポーツウエアメーカーのゴールドウイン(渋谷区)は昨年秋から、同社製のダウン製品の回収を始めた。同社が展開するザ・ノース・フェイス原宿店(同)など23店舗に回収ボックスを設置。郵送でも受け付けている。
リサイクルダウンを使ったコートの販売を始めたのは、アパレルメーカーの三陽商会(新宿区)だ。今季からコートブランド「サンヨー」など婦人服の4ブランドでリサイクルダウンを使ったコート計11型の販売を開始した。
価格はサンヨーのスタンドカラーフーデッドコートで5万2920円と、従来のダウンコートと同等の設定。ただ、今後、回収が進めば安くなる可能性はあるという。
同社は11月、大阪府吹田市で開かれた環境啓発イベントの会場で羽毛製品の回収を実施。今後もリサイクルダウンを使った衣料品の製品化を続けていく予定だ。サンヨーコート企画グループの石田和孝主任は「リサイクルダウンの商品を販売することで、まずはダウンが再利用できる循環資源だと知ってもらえれば」と話している。
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