東京電力は、17日に取締役会を開き、経営再建に向けて検討していた電気料金の再値上げを当面見送ることを決める見通しだ。当初は今年度中に政府に料金値上げを申請し、来春から実施する方向だった。しかし、火力発電所の定期点検や燃料調達の見直しなどの経営努力で、今年度のコスト削減は想定より2600億円前後上乗せできる見込みになった。
こうした状況の変化を受け、東電は今年1月に策定した再建計画(新総合特別事業計画、新総特)を見直し、来春にも新計画を策定する。コスト削減の一方で、燃料費を減らし、経営再建の鍵を握るはずだった柏崎刈羽原発(新潟県)は、地元の反対などで再稼働の見通しが立っておらず、新総特で想定した収支状況は、現実と隔たりが大きくなっていた。東電は金融機関と新たな資金調達についての協議も進める。
東電は、新総特で今年7月以降に柏崎刈羽原発を順次再稼働させ、燃料費の削減効果で1600億円超の経常利益を確保する予定だった。しかし、原子力規制委員会の安全審査に時間がかかっているほか、地元自治体の反対の声も根強く、再稼働の時期は見通せていない。
東電は9月に、外部の有識者を交えた「生産性倍増委員会」をつくり、コストの追加削減の検討を実施。その結果、今年度のコスト削減額は、目標の約5700億円から約8300億円前後まで拡大する見通しとなった。
今後は、同委員会でまとめる報告書を基に、2015~16年度に計画する計1兆3000億円の資金調達について、金融機関と本格的に協議する。また来年7月にも柏崎刈羽原発が再稼働すると見込むなど、新たな経営計画を策定する方針。
東電は16日に同委員会を開催し、コスト削減について13~22年度の目標(計4兆8000億円)をさらに上積みできないかなど詰めの協議を進めた。数土文夫会長は「社員には意識改革を強く訴えてきたし、今後も継続を求めていく」と語った。
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