女性のがんと聞いて、思い浮かぶものは何でしょうか?女性特有の乳がんや、子宮がんを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?
たしかに乳がんなど病気にかかる人の頻度(罹患率)は高いのですが、2010年人口動態統計によると、女性のがんの部位別死亡数の順位の1位は、大腸がん、2位が肺がん、3位が胃がんとなっています。 乳がんは5位です。
一般の健康診断にはがん検診が含まれていません。日本では欧米に比べ、がん検診の受診率が極めて低い状況が続いています。大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つは早期発見と早期治療が大変重要です。
ここでは、女性に多いがんの特徴と、早期発見のための年齢別のがん検診の受け方についてご紹介します。
2011年に女性でがんで亡くなった人の割合をみてみると、1位:大腸、2位:肺、3位:胃、4位:膵臓、5位:乳房でした。
ここだけを見ると女性特有のがんとして挙げられるのは乳癌だけですが、実は女性の大腸がんはここ数年とても増えています。
また5位までには入りませんでしたが、女性特有の生殖器である“子宮”のがんも、ここ数年でとても増えているがんです。
また、2008年に女性で“がんに罹った人の割合”をみてみます。1位:乳房、2位:大腸、3位:胃、4位:肺、5位:子宮でした。
この2つのデータから考えられることは、特に乳がんと子宮がんに関しては、がんになる人は多いけれど治療すれば死に至ることはないかもしれない、ということです。
もちろん、検査精度が上がったとか様々な治療法が増えてきたということもありますが、 “がん健診”を受ける人や、がんに関する情報が広まることで自分の体に気を付ける人が増え、結果的に早期発見・早期治療が出来るようになってきたのでは、と考えられます。
こうしてみると、女性特有のがんといえるものは乳がんと子宮がんです。また大腸がんも女性の死亡原因の1位を占めていますし、ここ数年で患者数が増えているがんですので、注意が必要です。
大腸がんは、長さ約2mの大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんです。
大腸がんの発見には、便に血液が混じっているかどうかを検査する便潜血検査が有効だと言われています。症状がなくても検診などで見つかることがあります。早期発見、早期治療が非常に重要ながんです。
子宮の頸部(妊娠していない子宮でいうと、子宮の入り口からおよそ1/3くらいの場所)にできるがんです。
子宮頸部の表面は、膣に近い部分と体部に近い部分で細胞の種類が少し違います。2種類の細胞の境目あたりが、子宮頸がんの発生しやすい場所ですが、この境目は炎症やホルモンのバランスで移動することもあり、ここに発がん因子が働くと細胞に異常がおこり、これを異形成と呼びます。
多くの場合、異形成は自然消滅しますが、一部はがん化して子宮頸がんになります。
子宮の体部(妊娠していない子宮でいうと、子宮の入り口からおよそ1/3くらいよりも奥、妊娠すると大きくなる場所)にできるがんです。子宮の内側にある内膜という場所にできます。
子宮内膜は、排卵があっても妊娠しなければ月経血となってはがれ落ちるものです。そのため、規則正しく月経がきていれば、子宮内膜ががん化しそうになっても月経とともに流れ出るため、がんに発展することはありません。
ところが、卵巣の働きが悪かったり、正常な排卵や月経が起きないと、子宮内膜は増殖を続けます。するとその一部ががん化し、子宮体がんとなります。
乳がんは、乳房の内側にある乳腺にできる悪性の腫瘍(がん)です。日本では、胃がんや子宮がんを抜いて、女性のがんのトップをしめるくらい増えています。
乳腺は女性ホルモンの1つであるエストロゲンの量に刺激を受けやすく、月経前は腫れや痛みを感じたり、月経が始まると症状がなくなったりします。これが月経周期とともに繰り返されることで刺激となり、乳腺の中にがんができやすくなります。
また乳がんには遺伝的な要因があることも最近分かってきました。
今回は、JR東京駅に隣接する丸の内オアゾ内にある医療法人社団「丸の内クリニック」の理事長・院長である、石川隆医師にお話をお伺いしました。
◆大腸がん
大抵の企業は40歳以上で人間ドック、35歳で節目検診というところが多いようです。30歳を目安に検診をしているところもあります。 女性に一番多いがんである大腸がんは、35歳くらいから増えていきますので、35歳の節目検診や、40歳以上の方で便潜血などの結果がでた場合は、大腸の内視鏡検査を受けることをおすすめします。
◆子宮がん
子宮がんの検診である子宮頚部の細胞診は、20代から受けておいた方がいいです。
自治体によっては検査費用の補助があります。また、子宮頚部以外に子宮体部や卵巣などの状態を検査する経膣超音波(エコー)検査も有用な検査です。
◆乳がん
乳がんの検診は、40歳以上の女性を対象に、厚生労働省では「2年に1回の触診とマンモグラフィーによる乳がん検診(マンモグラフィー併用検査)」をすすめています。
40歳未満の女性は、家族性の乳がんのリスクが無い限りは、乳房触診と乳腺エコー検査を受けておくことが考えられます。
マンモグラフィ―検査は40歳未満の方は一般的にはあまりおすすめしていません。
20代や30代の方の場合は、乳腺が発達しているため、画像が真っ白に映り(高濃度乳腺)、乳がんがあってもわかりづらいため、超音波(エコー)検査の方が一般にがんの発見に有効だと言われています。 また、マンモグラフィー検査はレントゲンを使用するため、毎年受けるとなると、若い人では被ばくのリスクもあります。 40歳未満の方は、まずは超音波(エコー)検査を受け、異常があればマンモグラフィー検査を受ける、ということをおすすめします。
現在、日本では、乳がんである女性の「遺伝性の乳がん」の確率は10%未満だと言われています。乳がんの大部分は家族性ではないと言われています。
遺伝性の乳がんの診断には、遺伝子の異常について調べる「BRCA 1/2遺伝子検査」などの検査があります。大学病院や、遺伝子カウンセリングが充実している施設などで受けることはできますが、通常のクリニックで実施しているところは少ないです。
ご家族や親類の方に乳がんの方がいらっしゃる場合は不安になるかと思いますが、遺伝性の乳がんについてはメディアの情報などで強調されすぎている傾向があります。
健康診断の質が高いというのが重要です。指標としては公表されていないため、一般の受診者のかたには判断しづらい面はありますが、医療機関の健康診断の質は精度管理、検査をする上での医療技術、診断能力などの部分も選ぶポイントになると思います。
基本的に一般の健康診断にはがん検診が含まれていません。会社などによってはオプションでつけられる場合もありますが、20代の女性で一度も婦人科検診を受けたことのない方も多くいます。
婦人科検診は、海外では受診率が9割を超えていますが、日本ではまだまだ受ける人が少ないため、35歳の節目や40歳以上の方はがん検診を含めた検診を1年に1回は受けるのをオススメします。
20代の方からみられる子宮頚部のがんは、早期発見、早期治療が有効です。若い方であっても、早いうちから受診するようにしましょう。ワクチンなどいろいろな情報がありますが、まずは検診で自分のカラダをチェックすることが重要です。
(取材協力:「丸の内クリニック」院長・石川隆先生)
最終的には、実際に受診してみて、受診内容、医師やスタッフ の接遇などで選ばれているのが現状だと思います。
Mocosuku編集部
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