子宮筋腫という病名を聞いたことがありますか?
子宮筋腫は女性特有の病気の中でも、最も患者数が多く、現在では30歳以上の女性の20~30%、40歳を超えると40~50%に子宮筋腫がある、といわれています。
しかしここ数年、20歳代での子宮筋腫の患者さんも増えており、理由としては初経年齢が早まっていること、がん健診などを受ける人が増えたこと、若い頃から婦人科を受診する人が増えたことなどが、その理由ではないかともいわれています。
ここでは、子宮筋腫とはどの様な病気か、その最新事情もあわせてご紹介します。
◆子宮筋腫とは?
子宮はそもそも、そのほとんどが筋肉でできた臓器です。骨盤内にありますが、膀胱と直腸の間にあり、太くて丈夫な靭帯で支えられています。子宮は、外側から漿膜という薄い膜、子宮筋層という筋肉でできた層、子宮内膜というビロードのような膜の、3層から出来ています。
子宮筋腫とは、この子宮筋層の部分にできる良性の腫瘍です。腫瘍…と聞くとがんではないか?と思うかもしれませんが、子宮筋腫は筋肉の一部がコブのような固まりになったもので、がんのようにどこかに転移したり、健康な他の細胞や組織を破壊することはありません。
また、子宮筋腫が子宮がんになることもありません。問題になるのは、子宮筋腫の大きさや数により、生理の出血量が増えたり、尿が近くなるといった症状が現れた時です。
子宮筋腫は1つだけのこともありますが、多くの場合は2~3個、多い人では小さなものでも100個以上できることもあります。
◆子宮筋腫の最新事情あれこれ
子宮筋腫になる原因ははっきりしていませんが、人種による差があることが分かっています。白人女性にくらべて黒人女性の方が2~3倍の発生頻度があります。
また、肥満の人は子宮筋腫になりやすい傾向があり、動物性たんぱく質を多くとることが影響しているのではないかともいわれ、ハムを好んで食べる人は1.3倍、牛肉を好んで食べる人は1.7倍、子宮筋腫が多くみられるという報告があります。他にも、ビールが好きな人は子宮筋腫が増加し、逆に喫煙者は発生の確立が低いのでは、という研究があります。
子宮筋腫は女性ホルモンと関係しています。一度できた子宮筋腫が自然に無くなることはありませんが、ある程度の大きさから変わらないこともありますし、逆に小さくなることもあります。特に閉経後は大きくなることはなく、小さくなることが多いようです。
また妊娠中は大きくなっても、産後に小さくなることもあります。子宮筋腫の治療法はいくつかありますが、状態によっては妊娠・出産も可能ですし、特に自覚症状が無い場合は、そのまま経過観察になることもよくあります。
症状が強くて日常生活が辛い場合を除いては、あまり心配し過ぎず、うまく付き合っていけば良い病気でもあるのです。
◆子宮筋腫自覚症状チェックリスト
□生理の時の出血量が多い
□月経困難症である
□不正出血(生理時ではない時の出血)がある
□以前に比べて、おりものが増えている気がする
□生理周期に合わせて、またはそれ以外でも、原因の分からない腹痛・腰痛がある
□性交時に、思わず腰がひけるような痛みがある
□頻尿・尿失禁・尿閉(尿が出ないこと)が気になる
□ここ数年、便秘に悩まされている
□あおむけになってお腹をさわると、しこりの様なものがある
□不妊症である、または不妊症かもしれない
※1つでも当てはまる場合は、子宮筋腫の疑いがあります
◆子宮筋腫の症状とは?
子宮筋腫そのものは良性の病気ですし、症状がまったく見られないことも珍しくありません。およそ60~70%くらいの人は無症状であるといわれています。
子宮筋腫が大きくなった場合や、出来ている場所によっては様々な症状がみられますが、最も多いのは生理時の出血が多いこと(月経過多)です。生理の期間が10日程度と長い、期間は5日程度でも出血量が多い、レバーのような固まりが出る、などの目安があります。
この時に心配しなくてはならないが「貧血」です。貧血の状態によっては、鉄剤などによる治療が必要になることもあります。
また、生理の時に下腹部痛(いわゆる生理痛)、頭痛、腰痛、発熱、吐き気などがあり、日常生活に支障を来すような場合を月経困難症といい、何らかの治療が必要になることがあります。
月経困難症は子宮内膜症という病気でもみられる症状ですが、婦人科で検査を受けることで明確になります。
子宮筋腫は、予防法も特になく、子宮筋腫自体が大きくなったり症状が強くなったりしなければ、早期発見のメリットはそれほど大きくありません。ただし、貧血がある・貧血がひどくなった、下腹部痛がある、下腹部に違和感やしこりがある場合は、早めに婦人科を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。
◆子宮筋腫は遺伝するの?
子宮筋腫がなぜできるのかは、まだはっきりと分かっていません。そのため、遺伝との関係もまだはっきりとはしていません。しかし、子宮筋腫の核(中心)は、細胞の変異によってできるといわれており、変異しやすい細胞の遺伝子を持って生まれてくる、という可能性も否定できません。
母親とその娘に子宮筋腫がみつかることも稀ではなく、遺伝との関係も可能性としてはありますが、その影響は大きくないと考えられています。
ただし、動物性たんぱく質を好んで食べる人、ビールをよく飲む人、肥満の人、早く月経が始まった人などは、子宮筋腫になりやすいといわれています。
(監修:有秋台医院 副院長 医学博士 鶴岡信栄先生)
http://news.goo.ne.jp/article/mocosuku/life/mocosuku-20141112213716849.html
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