厚生労働省平成24年「国民健康・栄養調査」によると、日本国民の6人に1人が睡眠に何らかの問題を抱えています。良質な眠りは、心身の健康を維持するために、必要不可欠なものです。
ここでは、快適な眠りを楽しむためにはどうすればよいかについて「食」の観点から考えてみましょう。
一体「いつ」「何を」食べればいいの?
11月6日付のアメリカ版ハフィントンポストの記事では、朝には卵、昼はレッドチェリーのジュース、夜はジャスミンライス、という提案をしています。
しかし私たち日本人にとっては、これらの食材は馴染みが薄いものもあり、一体「いつ」「何を」食べればよいのか、残念ながらピンときません。
まずは食材に含まれる物質と睡眠との関係について詳しくみてみましょう。
朝食では「オレキシン」をとるべし
オレキシンとは、視床下部外側野の神経細胞から産生する物質で、覚醒をうながし、交感神経の活動やエネルギー消費を促進するといわれています。ケンブリッジ大学の研究グループのNeuron(2011年11月号)での報告で、卵の白身にはこのオレキシンが含まれていることが明らかになりました。なお、この研究では、甘いものの摂取がオレキシン放出を阻害するという結果も示されています。また、「おいしい食事をよく味わいながら、規則正しくとる」ことでオレキシンの分泌が促進され、血糖値の上昇を抑えることを、自然科学研究機構・生理学研究所の研究グループが2009年にCell Metabolismで報告しています。
つまり、卵を、美味しく調理し、よく味わいながら食べることによって、スッキリ目覚める事ができるというわけです。
昼食には「メラトニン」を摂取して太陽光を浴びるべし
レッドチェリーのジュースが睡眠によいというのは、今年4月、サンディエゴで 行われたExperimental Biologyの会議で、ルイジアナ大学の研究グループが発表した報告に基づきます。この研究で、毎日朝晩の2回、レッドチェリーのジュースを飲む人はそ うでない人に比べ、睡眠時間が平均84分長かったという結果が出たのです。
なぜレッドチェリー?と思われる人もいるでしょう。実は、レッドチェ リーは自然な睡眠をうながすホルモンであるメラトニンの原料なのです。体内で合成されるには太陽光を浴びるのがよいとされていますので、メラトニンを摂取 するのは、お日様が光り輝く「昼」が適しているのです。
夕食には「トリプトファン」で決めるべし
グリセ ミック(GI)指数という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表わす数値のことです。GI指数が 高い食べ物を食べると、睡眠をうながすアミノ酸、トリプトファンが体内で放出されやすくなるといわれています。ジャスミンライスは白米に比べGI指数が高 く、夕食にジャスミンライスを食べる人は、白米の人よりも眠りに就くのが2倍速かったと、2007年のAmerican Journal of Vlinical Nutritionで報告されています。ジャスミンライスが手に入らないという人は、白米よりGI指数の高い玄米をチョイスするといいでしょう。
いつ何を食べるかということに少し気を配ることで、深い眠りと爽やかな目覚めをあなたにもたらすかもしれません。
最近眠りが浅い、眠れないという人は、是非一度ためしてみてはいかがでしょうか?
http://news.goo.ne.jp/article/mocosuku/life/mocosuku-20141111122411358.html
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