まるで時計の針を戻すかのように肝硬変になった肝臓を肝炎の状態まで戻すことが可能になりつつある。それは山口大学を中心に研究が進む患者自身の骨髄幹細胞を使う方法だ。
1.骨髄間葉系幹細胞で肝硬変を治す
肝硬変は多くがB型やC型肝炎ウイルスに感染、肝炎が長く続き、肝細胞が死んでいくために起こります。肝臓の中で「線維」が増えてしまい、肝硬変では、線維で肝臓の凹凸ができるほどです。
現在、肝硬変の線維は取り除くことができません。肝硬変の根本治療は肝臓移植しかないのが現状です。そこで今、線維を取り除き、肝硬変を治そうという治療の開発が進んでいます。骨髄の中にある「骨髄間葉系幹細胞」を取り出し、静脈から患者に投与する方法です。
骨髄間葉系幹細胞は血液にのって肝臓にたどり着き、 線維を溶かす 肝細胞の増殖を促す
というメカニズムで肝硬変の肝臓を回復させる治療効果が期待されています。
肝炎ウイルスをなくす治療法も進んでいるため、肝硬変から肝炎の状態に戻すことができれば、完治も目指すことも可能なのです!
2.実用化を目指す
骨髄間葉系幹細胞を使った再生医療。山口大学では二つの方法で実用化に挑んでいます。幹細胞を分離して、すぐに投与する方法は2013年に先進医療として開始。幹細胞を培養する方法は2014年から臨床研究として始める予定です。治療効果と安全性を確認し、一般的な治療として認可を目指しています。
この治療を受けるには厳密な条件を満たす必要があります。詳しくは山口大学医学部附属病院のホームページをご覧ください。
☆ 詳しくは、
きょうの健康テキスト 12月号に詳しく掲載されます。
NHK「きょうの健康」2014年10月20日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20141020-h-001.html