SNS、ゲーム、テレビ、インターネット…。手元のスマホでなんでもできるようになり、いつでもどこでもスマホにくぎ付け。通勤電車、食事中、トイレ、ベッドでもスマホを手放さない人もいる。爆発的な普及に合わせるように「スマホ腱鞘炎」に悩む人が増えている。アナタは大丈夫?
いつものように片手でスマホを持ってメールを打ち込もうとしたら親指の付け根に痛みが走り、日に日に動かしづらくなってきた。
気づいたら指の付け根が腫れ上がり、手首も痛くて曲がらない…。スマホ腱鞘炎の典型的な症状だ。スマホを操作する際に頻繁に使う指や手首の関節に痛みがあり、患部が腫れたり、変形したり、手を開けなくなってしまうこともある。
人間の手や指には「腱」と呼ばれるひものような組織がある。この腱が筋肉と連動して動くことで、手首や指を曲げたり伸ばしたりしている。その際、腱が骨と離れないように包んでいる腱鞘という“トンネル”の中を行き来するのだが、腱を使いすぎたり、負荷がかかると炎症を起こし、腱が腱鞘の中をうまく通過できなくなって痛みを発するようになる。これが腱鞘炎だ。
■原因は「使い過ぎ」と「使い方」
「『スマホ症候群』に気をつけて!」の著者で、「KIZUカイロプラクティック」の木津直昭院長は言う。
「指や手首を使いすぎることはもちろんですが、握り方や使い方が悪いと腱鞘炎を起こします。スマホを持つとき、多くの人は親指を本体の表側に出し、他の指は後ろ側から握って支えています。その際、指先ではなく、指の中腹に力を入れている。その状態のまま親指で画面を操作したり、反対の手の人さし指で操作をしているケースがほとんどだと思います。両手を使っている人はまだましですが、この握り方のまま片手でスマホを操作していると、通常時に物をつかむときに使う筋肉ではない筋肉を使うため、大きな負荷がかかります。そのうえ、長時間にわたって狭い可動範囲で反復した指の動きを続けることで筋肉や関節が酷使され、腱鞘炎を起こすのです」
こうしたスマホ腱鞘炎は「ドケルバン病」と呼ばれている。親指を伸ばす筋肉である長母指外転筋と短母指伸筋が手首の背側で起こす腱鞘炎だ。症状が進めば、医師による治療や手術が必要になる。親指側を上にした状態で、親指を隠すように拳をつくり、手首を小指側(下側)に動かし、親指側を伸ばしたときに痛みがある人は要注意。悪化する前に手を打ちたい。
基本的な対策はスマホを連続で長時間使用しないこと。長くても1時間使用したら、スマホは手放したほうがいい。
「休んでいる最中は、まず親指の付け根をマッサージしてこわばった筋肉をほぐしてください。さらに、手を開いた状態にしたまま親指を手のひらとは反対側にそらせるストレッチも効果的です。親指に逆の手を添えて徐々に力を入れ、これ以上はそらせないポイントで5秒間、静止。これを3セット繰り返します」(木津院長)
腱の炎症が治まっても、スマホの使い方が悪ければすぐに痛みが再発しかねない。スマホはなるべく指の中腹ではなく指先に力が入るように持ち、両手で操作する。また、下を向いて前かがみの姿勢でスマホを操作していると、首や肩に負担がかかり、筋肉や関節の障害につながる。背筋を伸ばし、スマホは顔の正面の位置で操作したい。
スマホの取り扱いには注意が必要なのだ。
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