心臓の検査でおなじみの「心電図検査」。ところが、この検査で「異常なし」なのに、重い心臓病という場合がある!心臓病を早期発見するためのチョイスをばっちり紹介する!
■心電図検査
一般的な心電図検査は、体に電極を付けて、ベッドに横になった状態で心臓が発する電気を記録する。心臓は、心臓が自ら発している電気を合図に収縮を繰り返し、血液を送り出している。この電気を記録することで心臓の電気の異常が起きていないかを診断する。電気の異常が起こっていると「不整脈」を見つけることができる。
■【チョイス】心電図検査で“異常なし”でも心臓病
心電図検査で「不整脈なし」なのに、心臓病がみつかった。そのチョイスとは「聴診」。医師が聴診器で「心臓の音」を聞き、心臓の異常をみつけたのだ。
見つかった心臓病は、「弁膜症」。弁膜症は心臓の弁の異常がおこり、十分な血液を送ることができない病。心臓が発する電気の異常が原因ではないため、心電図検査では発見できない。心臓の弁が閉まらず血流が乱れるため、「心雑音」が発生。聴診でとらえることができる。
※同じ聴診でも、かぜの診察の場合は肺や気管支の音を聞いていることが多い。聴診で弁膜症が疑われたら、心臓エコー検査などの精密検査を行う。
■弁膜症の症状
心臓の中には弁があり、この弁がタイミングよく閉じたり開いたりすることで、血液を勢いよく送り出することができる。
弁膜症では、主に僧帽弁と大動脈弁などの弁がうまく閉じなくなったり、開いても通り道が狭くなる。弁膜症が進行すると心不全になり、全身にじゅうぶんな血液を送り出すことができなくなって、酸素不足により息切れがしやすくなる。
■弁膜症の治療
弁膜症は、症状の出方によって4段階に分類され、その段階によって治療が異なる。
日常生活で、息切れなどの症状がほとんどなければ第1度。階段を上がったときなどだけ症状があれば第2度。
→心臓の働きはじゅうぶん保たれているため、定期的に心臓の検査を行い、経過を観察する。
短時間の平地の歩行でも症状があれば第3度。安静時にもあれば第4度。
→弁膜症を治せる薬はないため、早期の手術を検討。弁を人工弁にとりかえる。または、弁のずれをなおす弁形成を行う。
■【チョイス】危険な不整脈かどうかを調べる――24時間心電図
心電図検査で「不整脈」となっても「危険な不整脈」「危険でない不整脈」がある。見分けるためには「24時間心電図」検査で、どんな不整脈が発生しているかを調べる。
※危険でない不整脈は「期外収縮」。心臓の拍動の周期を外して収縮が起こるという意味で、収縮のタイミングが一瞬だけ速くなるタイプの不整脈。不整脈全体の9割を占め、自覚症状を感じない人のほうが多い。
症状を感じる場合は、“一瞬心臓がドキッとする”“一瞬脈が飛ぶ”などと感じることがある。期外収縮は自律神経の乱れにより、勝手に電気が発生してしまうことで起こる。
原因は、ストレス、睡眠不足・疲労、あるいは喫煙・アルコール・コーヒーなどの刺激物。基本的には、命に関わるような危険性はない。
※危険な不整脈「心房細動」は、心臓の上部の心房が1分間に500回程度も拍動するタイプ。
心房が激しいけいれんを起こし、血流が滞り、血の塊である「血栓」ができやすくなる。この血栓が脳へ飛ぶと、脳の血管が詰まる「脳梗塞」を起こしてしまう。
軽度の場合は、心房のけいれんを抑える薬と血の塊を防ぐ薬で治療を行う。
NHK「チョイス」2014年10月4日(土)放送分
http://news.goo.ne.jp/article/choice/life/choice-20141004-c-001.html