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やめられない、とまらない……人はなぜ食べ過ぎの誘惑に勝てないのか?

ポテトチップスやポップコーンなどのスナック菓子は、ひとつ食べ出したらなかなか止められないですよね。これにはちゃんと理由があるのだそうです。食べ過ぎの誘惑を止めるための方法をご紹介します。

■どうやら「意思の力」ではないようです

たとえばスナック菓子を食べるとき、手と口は無意識に動くのです。これにブレーキをかけるのは、強い意思の力が必要なのではなく、ちょっとした周囲の状況を変えるのが一番いいという論文があります。

コーネル大学(米国)の栄養学、消費行動心理学講座の教授、Brian Wansink PhDによると、食べ物は多くの人を“いつでも”だますことができるのだそうです。

ここで紹介するのは、ユニークな発想でコンスーマーの摂食行動の盲点を暴くことで著名なWansink教授が、2011年の米国心理学会で発表したものです。

シカゴの映画館で昼間の上映に集まった168人の観客に、なんの予告もなくポップコーンの入ったジャンボサイズ容器とミディアムサイズの容器を無作為に渡しました。「ご自由に召し上がれ」です。お帰りの際に容器を回収しました。

もちろん、この実験には、タネも仕掛けも用意してあります。まず昼間の上映ですから、観客はランチを済ませています。つまり空腹ではありません。

中身のポップコーンは2種類あって、作りたてのフレッシュなものと、5日前に作った古いものです。これによって、上の空のつまみ食いでも、おいしさの関与度がわかります。

回収した容器を計量したところ、フレッシュ・ポップコーンが入ったジャンボサイズ容器を受け取った人は、フレッシュ・ポップコーンが入ったミディアムサイズ容器の人に比べ、45%も多く食べていました。

おいしくない古いポップコーンが入ったジャンボサイズ容器の人でも、フレッシュポップコーンが入ったミディアムサイズ容器の人よりも34%も多く食べていました。

つまり、容器(バケット)の大きさがカギなのです。Wansink教授によると、容器の大きさは私たちに無意識の「消費ノルマ」を提示します。そしてそれを手に持つことで、空腹でもないのにスイッチが入って、食べるのを止められなくなってしまうのです。

■口から脳へ、脳から口へ

つい食べ過ぎてしまうのには、周囲の状況や根強い習慣、食品の化学成分などが挙げられます。とくに子どもが好むハンバーガーやフライドチキン、ピザやアイスクリームなどは高脂肪食品です。ポテトチップスやベーコン、フレンチフライなどは高塩分です。もちろん甘い物も大好物です。

この脂肪、塩、砂糖がそろうともう止まらなくなります。チョコレートは脂肪と砂糖、ピーナッツは脂肪と塩分、キャラメルは砂糖と脂肪……挙げていったらきりがありませんが、食品メーカーはこの3つの味のバランスをしっかりとつかんでいるので、計算どおりに手を出すと止まらなくなるしくみになっているのです。

脂肪・塩・砂糖のトリオは脳内の快楽領域を刺激します。厄介なことに、食べ物にはアルコールや薬物のように完全に「断つ」選択肢がありません。誘惑にさらされつつ生きるために食べなくてはならないのです。

■生活習慣を身につけることが大事

スナック食品メーカーの経営者の話をメディアなど聞いていると、子ども時代に植えつけた好みの味を、大人になってもいかに継続させようかと努力している姿が伝わってきます。

愛情に守られて楽しく過ごしていた時代の記憶に結びついた味覚は、成人しても安らぎを与えてくれます。ストレスにつぶされそうな毎日、ふと手に取るなじみの味覚が「止まらなく」なるのも無理はありません。問題は過去の時代にとても貴重で高価だった脂肪・塩・砂糖が、現代は典型的な安価な物になってしまったことです。肥満が全世界の問題になってしまったのは、この容易さがあると思います。2型糖尿病になってから急にヘルシー食を習慣にしようとしても、なかなか身につくものではありません。

Wansink教授はヘルシーな習慣を得るにはコツがあるといいます。まず、現代人は空腹だから食べたくなるのではなく、周囲から「キュー」(暗示、合図)が出るから食べるようになることを理解することです。

同教授によると、私たちは1日に250回以上も食べ物について意思決定をしています。

たとえば、スープとサラダのどちらを選ぼうかと考えるだけでなく、サラダの種類、その量、どのドレッシングにするか、ドレッシングは少しにするか、たっぷりとかけるかなど、確かにいろいろな状況によって全てが左右されます。

そこで「無意識に食べている物を、無意識にヘルシーに食べる」ようにしようと、次のような提案をしています。

□冷蔵庫やキッチンの食材を、ヘルシーな物が最初に目に入るように配置換えをすること

□買ってきた料理、食材をそのままテーブルに出さないで、必ず少量ずつ自分で皿に盛ること

□一回り小さな皿を選ぶこと。12インチの皿に料理を盛っていたのを、10インチの皿にダウンサイズすると、食べる量が22%減ることに

□ジュースやアルコールなどのグラスは背の高い、薄手のガラスのものを使うこと。同じ容量のグラスでも、背の低いずんぐりとした厚手の口の大きなグラスにジュースを注ぐと、37%も多く入れてしまうことに

□無意識の飲食習慣をつけないように、食事のときはテレビを消すこと。これは誰でも知っているけど、なかなか守りづらいこと

□ビュッフェ効果に注意! たくさんの料理が手を替え品を替えてずらりと並ぶと、目も舌も飽きがこないので食欲が進む。でも、よく見ていると、標準体型の人たちは自分の好みのものをきちんと選んでいる

□カクテルパーティやビュッフェで、取り皿をきれいな新しいものに取り替えると、どのくらい食べていたのかすぐ忘れてしまう。食べた跡の汚れや骨が皿に残っていると、摂食量が減ることが確認されている

□摂食の心理・行動をリサーチすると、2人で夕食を楽しむと、独りで食べるときの35%も余計に食べている。アメリカ人は7人でにぎやかに盛り上がると、普段の食事の1.9倍も食べてしまうそう。食べた量にまったく注意が向かわなくなることに。また、女性同士が向い合って食事をしているのを観察すると、一人が何かを口に入れると相方も5秒以内に必ず同じ行動をとるという発表もあった

日常生活にはこのように無意識に食べてしまう「キュー」がありふれています。手と口が止まらなくなったら、上記のことを思い出してください。

文・河合 勝幸(All About 糖尿病)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141007-00000010-nallabout-hlth

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