[ カテゴリー:子育て ]

子ども・子育て支援新制度

内閣府が作成したパンフレットには「すくすくジャパン みんなが、子育てしやすい国へ」の、うたい文句が掲げてある。2015年度スタート予定の 「子ども・子育て支援新制度」の利用者向け解説書だ。地域の実情に合わせた多様な子育てサービスの整備は大いに歓迎するが、待機児童の解消はままならず、 保育士確保も厳しい現状が続いている。理想と現実のはざまで、現場にだけしわ寄せがきてしまえば、なにをかいわんやである。

新制度は2012年8月に成立した子ども・子育て関連3法に基づき、幼児教育や保育、地域の子育て支援を総合的に支援する。力を 入れるのが待機児童の解消で、幼稚園と保育所に加え、双方の機能を併せ持つ「認定こども園」の普及を図る。定員6~19人の「小規模保育」、「企業内保 育」などの設置も推進する方針で、利用者の選択肢は広がり、地域の子育て支援拠点も増えることになる。

「待機児童ゼロ」を掲げる安倍政権は、昨年4月に「解消加速化プラン」を打ち出し、17年度までに保育所や小規模保育など40万 人分の受け皿をつくるとした。今月、厚労省は進ちょく状況を公表し、昨年度の約7万2千人分と合わせ、本年度中に計約19万1千人分を確保できる見込みと いう。保育所などの受け入れ基準も緩和され、予定通り計画が進めば利用する側の選択肢は確かに広がる。だが受け皿をいくら用意しても、それに見合う人材が 確保できるのか。慢性的な保育士不足は都市部に限ったことではない。

県内でも保育士が確保できず入所できないケースは発生している。県内の待機児童は今年4月時点で佐賀市と鳥栖市で合計50人に上 り、このうち鳥栖市の25人は保育士不足が原因だった。解消するには新たに保育士が6人必要だったが、現在も確保できていない。新制度移行への予測調査で は、さらに深刻なデータが示された。佐賀市では初年度、預かりを希望する0歳児約850人の約4割に当たる358人の受け入れができないことが判明。担当 者はその一因に「保育士不足」を挙げた。

県内の保育士登録者は1万524人(今年7月)。このうち現在、働いている人は4割程度で、残る6割は「資格を持ちながらも保育 士の仕事を希望しない潜在保育士」(県こども未来課)とされる。なぜなのか。厚労省の調査で潜在保育士の半数近くが「賃金が希望に合わない」を理由に挙げ ている。

県内の保育士の平均給与(2012年度)は約20万7千円で、全業種の平均より8万円以上低かった。全国でも同様の傾向で厚労省 は昨年度、保育士らの給与アップなどに助成する「保育士等処遇改善臨時特例事業」を新設、待遇改善を進めているが、これで十分とは言い難い。環境整備に向 けては潜在保育士の活用が鍵を握ることは明らかで、保育所などの経営側にも踏み込んだ対応を望みたい。

政府は新制度に10%の消費増税分から7千億円を充てることにしているが、実際には1兆円超が必要と積算される。安倍政権が掲げ る女性の社会進出を加速させるためにも責任を持って財源を確保、働く側にもメリットになるような環境づくりを、さらに進めてほしい。(澤野善文)

http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/107726

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